- 著者
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宇津木 弘
西村 成興
- 出版者
- 一般社団法人 色材協会
- 雑誌
- 色材協会誌 (ISSN:0010180X)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.1, pp.2-14, 1975-01-20 (Released:2012-11-20)
- 参考文献数
- 28
付着基数を種々に変えたペンタノール, ベンジルアルコール処理シリカゲルの表面特性が77°K, 273°Kヘプタン, 288°K水蒸気吸着と278°Kヘプタンおよび水への湿潤熱から検討された。表面処理シリカゲルは親油性, 親水性表面から成り, 単分子層形成過程では水蒸気は親水性表面にのみ吸着し, 親油基には吸着しない。これに反しアルゴンおよびヘプタンはそのいずれの表面にも吸着するが, ヘプタンはその分子径の大きなために, 微小径空孔内の表面には吸着し得ない。この観点から処理シリカゲルのアルゴン, ヘプタン, 水蒸気吸着表面積, ΣArHRSK, ΣhepHRSK, ΣH2OHRSKはそれぞれ次式で示されることが認められ, 実験的にも確められた。ΣArHRSK=ΣArSK- (NCOH/NR) σOH・NR;ΣH2O HRSK=ΣH2O SK- (1+NC OH/NR) σOH・NR;Σhep HRSK=Σhep SK- (NC OH/NR) σOH・NR。ここにΣXSKは未処理シリカゲルの吸着質Xで求められた表面積であり, NCOH, NRおよびσOHはそれぞれ付着基でおおわれて, いずれの吸着質でも吸着点となり得ない微小空孔に閉じこめられた未反応シラノール数, 付着基数およびシラノールの分子断面積である。この関係で求められる多くの種類の付着基についての (NCOH/NR) σOHを付着基に相当するアルコールの分子断面積に対しプロットすると, 水酸基の分子断面積に相当する部分で零となる一定な傾斜を持つ直線関係が得られる。この直線の傾斜は原料シリカゲルの性質により異なる。処理シリカデルの湿潤熱はこのような親水性, 親油性表面への湿潤液の相互作用として検討し, 合理的な値を得た。湿潤熱を未処理または処理シリカゲルのアルゴンまたは窒素表面積で割り, 単位面積当たりで求めることはこのような複合表面ではなお疑問の余地があり, これらは別々に分離して求められるべきであろう。