著者
宇野 雄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

チップバーンは、カルシウム欠乏時に発生する野菜の生理障害であり、収穫物の商品価値と収量を低下させる.本研究では,レタスのチップバーン抵抗性の簡易評価法を確立し、同方法により選抜した感受性品種が栽培時の指標品種として利用できることを確認した.また,チップバーンの原因遺伝子として、カチオン/H^+アンチポーターをコードするCAX遺伝子を一候補とみなし、レタスから4種類の遺伝子(LsCAX2, 3a, 3b,および5)を単離し解析を行った。そのうち、2種類の遺伝子がコードするタンパク質にはCaの輸送特異性に関与する2つの領域が高度に保存されていた.さらに、CaCl_2によるLsCAX遺伝子の発現誘導において、抵抗性品種と感受性品種との間に差異があり、同遺伝子がチップバーンと関係している可能性が推察された。AtDREB1Aを別の原因遺伝子候補と考え、同遺伝子を過剰発現させたレタスのチップバーン抵抗性をコントロールと比較した結果、チップバーン発生葉率が有意に高いことが明らかとなり、ストレスとチップバーンとの関連性が示唆された。
著者
宇野 雄一 奈邉 健 新田 陽子 鶴田 宏樹
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

イチゴにより口腔アレルギー症候群を発症するケースがあり,生活の質の低下や,生産物の消費低迷が懸念されている.本研究では,イチゴに含まれるアレルゲンおよび抗アレルギー成分の解析を行い,誘発性評価システム開発のための基礎的知見を得た.IgE結合能の解析により,イチゴの主要アレルゲンはFra a 1であると考えられた.Fra a 1 の含量は,品種,栽培方法,生育段階,および部位の違いにより増減し,その構造は,60℃以上の加熱により変化した.また,イチゴの抗アレルギー成分にも品種間差がみられた。以上により,品種,栽培方法,調理方法などの適切な選択によりイチゴアレルギーが緩和できる可能性が示唆された.