著者
宇野 雄一 奈邉 健 新田 陽子 鶴田 宏樹
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

イチゴにより口腔アレルギー症候群を発症するケースがあり,生活の質の低下や,生産物の消費低迷が懸念されている.本研究では,イチゴに含まれるアレルゲンおよび抗アレルギー成分の解析を行い,誘発性評価システム開発のための基礎的知見を得た.IgE結合能の解析により,イチゴの主要アレルゲンはFra a 1であると考えられた.Fra a 1 の含量は,品種,栽培方法,生育段階,および部位の違いにより増減し,その構造は,60℃以上の加熱により変化した.また,イチゴの抗アレルギー成分にも品種間差がみられた。以上により,品種,栽培方法,調理方法などの適切な選択によりイチゴアレルギーが緩和できる可能性が示唆された.
著者
吉村 美紀 加藤 陽二 新田 陽子 横山 真弓
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.95-99, 2013 (Released:2013-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
5 1

野生シカ肉の有効活用を目的として,オスジカ,メスジカの肉重量および栄養成分の差異について検討した。試料は,兵庫県丹波地域において2010年9月,11月,12月に捕獲したニホンジカを使用した。オスジカの平均体重は46.4 kg,肉重量は16.7 kg,歩留率は35.6%,栄養成分は100 gあたりタンパク質21.2 g,脂質0.4 gを示した。メスジカの平均体重は36.3 kg,肉重量は13.1 kg,歩留率は35.7%,タンパク質20.5 g,脂質0.7 gを示した。メスジカは,オスジカより小さいが,肉の歩留率は同等で,脂質量は増加傾向にあった。オスジカ,メスジカとも捕獲月による肉重量および栄養成分値の差異は小さかった。肉の部位別では,オスジカ,メスジカともモモとスネの重量割合が高く,肉の部位間での栄養的特徴の違いは小さかった。
著者
新田 陽子
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

加熱無毒化ができないアレルギー食中毒の新たな予防策として、食品中に蓄積したヒスタミンを除去する方法について検討した。食品に付着した菌が産生するヒスタミンの多量摂取でアレルギー様症状が現れるこの食中毒では、ヒスタミンが無色、無臭であることから汚染食品を事前に見分けることは困難であり、また通常加熱で分解されないため、現在の対策は低温保存を徹底してヒスタミンを増やさないことである。しかし一旦ヒスタミンが蓄積した食品への対策がないため、毎年食中毒が発生していると考えられる。ヒスタミンは水溶性であることから、下ゆでにより食品からゆで汁に溶出すると考えられるが、どの条件でどの程度溶出するかは検討されていない。そこで、食中毒レベル以下のヒスタミン量にするための下ゆで条件について調べた。近年保育施設の給食でヒスタミン食中毒が連続して発生しており、厚生労働省食中毒統計資料内ヒスタミン食中毒と思われる事例の15件中7件(2016年)および13件中5件(2015年)が保育所給食および学校給食で発生している。また保育所給食および学校給食の患者数が全体の約8割を占めている。つみれによる食中毒が多いことから、赤身魚すり身中にヒスタミンを一定量添加したサンプルを作成し、その中からのヒスタミン除去法を検討した。食中毒レベル(100mg/kg以上)のヒスタミンを添加して作成したイワシのつみれを下ゆですることでヒスタミンが除去されるかを検討した。ヒスタミン溶出量の定量にはヒスタミン定量キット(はチェックカラーヒスタミン)を使用した。