著者
石原 雅巳 寺本 龍生 松井 孝至 千葉 洋平 山本 聖一郎 安井 信隆 石井 良幸 奈良井 慎 立松 秀樹 小林 直之 徳原 秀典 渡邊 昌彦 北島 政樹 倉持 茂
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.440-445, 1990-06
被引用文献数
6

症例は22歳の男性.1995年5月,排便困難,血便を主訴に近医を受診した.直腸癌の疑いで当院を紹介され1995年5月29日,入院となった.注腸造影,大腸内視鏡検査では肛門縁より約7cmの直腸左壁を中心とし半周性の隆起を主体とした腫瘤の集蔟を認め,感染性腸炎を疑わせる所見であった.生検の病理組織像は形質細胞の多い非特異的炎症のみであった.梅毒血清反応が陽性であったことから,梅毒性の直腸炎と診断し,駆梅療法を開始した.開始後,梅毒血清抗体価の低下にともない病変の縮小を認め,治療後約4カ月で梅毒血清抗体価の陰性化と病変の消失を認あた.さらにTreponema pallidum(以下T.p.)に対する抗体を用いた酵素抗体法によりT.p.が生検部の病理組織より証明され,梅毒性直腸炎の確定診断がされた.