- 著者
-
安原 昭博
吉田 由香
堀 あいこ
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.165-167, 2003-03-01 (Released:2011-12-12)
- 参考文献数
- 4
- 被引用文献数
-
2
注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) 診断用テストのコンピュータ・ソフトを制作し, 臨床応用を試みた. 対象は6~13歳のAD/HD男児20名と, 6~12歳のnon-AD/HD対照男児10名である. NoruPro Light Systems, Incと共同作成したコンピュータ・ソフト「もぐらーず」は, 2種類の異なる画像を提示する視覚性課題弁別検査であり, 被検者は1つの決まった画像に対してキーボードを押すことを義務づけられている. AD/HD群の正解率は84~86%であり, non-AD/HD群の96~98%よりも有意に低値であった, 正解率の低さは衝動性を反映すると考えられ, AD/HD児には行動を抑制する機能の障害があるのではないかと考えられた. 反応潜時のばらつきはAD/HD群で有意に大きく, これは注意集中の持続性の欠如を示していると考えられた.「もぐらーず」はAD/HDの症状を客観的に評価でき, 診断に有用な検査であると考えられる.