著者
安岡 利恵 藤木 博 森田 修司 満尾 学 門澤 秀一 埴岡 啓介 門谷 洋一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.3011-3017, 2009 (Released:2010-03-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は79歳,女性.両側乳腺浸潤性小葉癌で手術施行.術前検査時より腹部CT検査で,胃壁の肥厚と軽度の造影効果を認めていたが,上部内視鏡検査では異常所見は指摘されなかった.乳癌術後,腫瘍マーカーは上昇し,さらに腹部CT検査で胃壁肥厚が増強した.3回目の上部内視鏡検査で,乳癌の胃十二指腸転移と診断した.その後,Paclitaxelでの化学療法を行っていたが,幽門狭窄症状が出現したために,胃空腸バイパス術を施行した.バイパス術後11カ月経過したが,腹膜播種や閉塞性黄疸が出現し,全身状態は悪化傾向である.今回,上部内視鏡検査で診断に苦慮した乳癌の胃十二指腸転移の1例を経験したので報告をする.
著者
安岡 利恵 宮垣 拓也 北尾 善孝 門谷 洋一 中村 隆一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.2210-2215, 2004-08-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
14

混合型性腺異常発生症では,染色体異常が主に45X/46XYなどのmosaicであるために,一側性腺が精巣で他側が線状性腺を持ち,未分化な膣,子宮,卵管などMüller管の遺残を認めることがある.また,混合型性腺異常発生症は様々な身体学的特徴を有する.本症は主に小児科医,小児外科医が関わる疾患であるが,今回われわれは45歳にして成人鼠径ヘルニア治療時に偶然混合型性腺異常発生症を発見し,十分なインフォームドコンセントのもと,線状性腺とMüller管遺残を摘出した興味深い症例を経験したので,これを報告する.
著者
安岡 利恵 熊野 達也 森田 修司 満尾 学 小田 俊彦 川端 健二 門谷 洋一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.129-134, 2005-01-25 (Released:2009-05-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2 3

急性腹症で発症した小児大腸癌の1例を経験したので,本邦における小児大腸癌の検討と併せ報告する.症例は15歳,男児.腹痛,嘔吐,発熱を主訴に来院. CT上,多量の腹水とfree air認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎との診断の下,緊急手術施行.術中所見で直腸癌穿孔に伴う癌性腹膜炎と診断し, Hartmann手術を施行した. Rsの全周性びまん浸潤型腫瘍の組織学的所見は, mucinous carcinoma, se, n(+), ly1, v1, H0, P3, M0, stage IVであった.術後10日目より化学療法(5FU/leucovorin)を開始するも,癌性腹膜炎は進行し,術後157日目永眠.小児大腸癌は予後不良であり,小児であっても大腸悪性腫瘍の存在を念頭に置き精査し,早期発見・治癒切除に努めることが重要であると考える.