- 著者
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宋 裕姫
西野 精治
- 出版者
- 学校法人 産業医科大学
- 雑誌
- Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.3, pp.329-352, 2008-09-01 (Released:2017-04-11)
睡眠障害や睡眠不足は, 肥満, 糖尿病, 高血圧などの生活習慣病, 労働者のヒューマンエラー, 交通事故, 産業事故などを引き起こし, 社会全体の経済損失は甚大なものになる. これらの問題を解決するために, 米国政府は1993年に睡眠に関連した事故による経済損失総額は年間5兆円あまりとした睡眠障害調査国家諮問委員会による報告書を発表した. その後, 様々な国家的対策により睡眠センターの数や睡眠研究に対する研究費が増加するなどにより睡眠医学が発展した. 日本においても睡眠障害に対する国家的対策が必要であるとして, 日本学術会議が2002年に"睡眠学の創設と研究推進の提言"を報告した. このような状況の中で, 米国における国家諮問委員会報告書をもとにした国家的な取り組みは, 睡眠学を創設したばかりの日本にとって参考になる可能性がある. 今回, この取り組みを総説としてまとめ考察を加え報告する.