著者
実近 憲昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第33回, no.パターン処理および人工知能, pp.1325-1326, 1986-10-01

碁はその巨大な問題空間の為、従来チェッカやオセロ等の中規模のゲームでは成功した平板な探索指向型のアプローチは通用しない。探索型に代わるものとして、人間の思考形態或は知覚形態を直接模倣する立場をとるプログラムが現れた。現在開発中の碁プログラムGO.1もこの立場をとっている。ここでは探索指向型に対比して知識指向型という用語を用いる。碁プログラムが知識指向型となることは必然とは言え、探索部分を完全に除いてしまうことは出来ない。なぜなら碁に関する知識は完全には組織化されてはいないし、また微細なレベルまで知識を網羅することも殆ど不可能だからである。むしろ、状況に応じて、組合せ的爆発が生じない範囲で局所的に探索を行い、知識の代用とした方が効率が上がる。以下、探索を局所的に限定し、モジュール化する上での問題点について述べる。
著者
田中 吉廣 実近 憲昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.712-713, 1990-03-14

Common ESP(CESP)は、AI言語研究所で研究開発している実用的AIプログラミング言語である。この言語は、論理型とオブジェクト指向型を融合しており、汎用ワークステーション等で稼働する。1988年度は、言語の基本部分を枠組みとしたエミュレータ方式の暫定版CESPを作成した。1989年度は、この暫定版の機能拡張と操作性改善を行ない、マシン語生成方式の基本仕様版CESPを完成させようとしている。本稿では、この基本仕様版CESPの言語仕様と処理系の概要について述べる。
著者
田島 守彦 実近 憲昭 岡田 義邦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.825-830, 1989-07-15

KPV法とは 筆者らが発表済みの知識指向型ゲームプログラムで開発・採用した候補手の評価手法である.本論文では KPV法を評価手段とするゲームプログラムにおける手の評価において 前打着時の評価が再利用できる方法を示す.KPV法を概説した後 評価必要性判定用知識を用いて不要な候補手評価をカットするNVカットと称する手法を述べ かなりの割合の候補手がカットできることをオセロゲームの例で示す.相手の思考時間を利用すればさらにカットできる候補手の割合は大きくなる.最後に 誤差が生じる問題の考慮 およびNVカットの基礎について議論する.