著者
横田 正 加藤 久喜 宮下 知也 衛藤 英男
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.121-126, 2014 (Released:2015-01-06)
被引用文献数
1

現在、コーヒーは様々な疾患のリスクの減少や予防などの研究が報告されており、非常に機能性のある嗜好性飲料といえる。亜臨界水を用いて、生コーヒー豆を抽出することで、より多くの成分を抽出できることが期待される。そこで、熱水抽出サンプル(通常のコーヒー)と亜臨界水抽出サンプルとの官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では3 MPa、200 ℃、3分の抽出が最も熱水抽出サンプルに近かった。凍結乾燥物重量は、熱水抽出サンプルよりも2倍以上を示した。タンパク質、総アミノ酸、グルコース、全糖、クロロゲン酸類、桂皮酸類、カフェイン、トリゴネリン、およびメラノイジンにおいても高抽出量であった。さらに、抗酸化活性も高くなり、機能性が期待できるコーヒー様エキスが製造できた。
著者
宮下 知也 横田 正 木戸 康嗣 岡村 拓哉 飯島 陽子 鈴木 英之 柴田 大輔 衛藤 英男
出版者
Society for Science and Technology
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.95-100, 2015

我々は緑茶を亜臨界水抽出130℃で処理することで高濃度カテキン含有でありながら苦渋味を抑制した緑茶飲料になることを報告した。本報ではこの緑茶抽出物の有用成分や香気成分および水色について検証を行った。その結果、従来の熱水抽出よりも有用成分(アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、ケルセチン、サポニン、水溶性食物繊維)が高濃度で抽出され、機能性を有する緑茶飲料であることが分かった。また、テアニンから生成される(S)-3-アミノ-1-エチルグルタルイミド(環状テアニン)はACE阻害活性があり、緑茶の中でも玉露や碾茶に多いことも明らかにした。さらに、緑茶特有の香気成分および水色に関連するクロロフィルの増加も確認した。従って、亜臨界水抽出は従来よりも優れた香気と水色を示し、苦渋味抑制だけでなく新たな機能性を有する緑茶飲料の製造方法としての可能性を示唆した。
著者
横田 正 河合 智也 木戸 康嗣 高橋 しほり 宮下 知也 衛藤 英男
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.231-234, 2016 (Released:2017-01-12)

紅茶は世界中で飲料される嗜好飲料の一つである。著者らは、緑茶の亜臨界水抽出物が、高濃度カテキン含有でありながら苦渋味を抑制し飲みやすい飲料となったことや、低品質烏龍茶の亜臨界水抽出物は、香気成分が増加し高品質化に適していることを報告した。そこで、紅茶を亜臨界水抽出することにより、香気成分などをはじめとした多くの成分を抽出することができ、新たな飲料の開発に繋がると考え、紅茶の熱水抽出物と亜臨界水抽出物との官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では亜臨界水抽出物のほうが、熱水抽出物よりも優れており、3 MPa、140 ℃での抽出が最も良好であった。凍結乾燥物重量、タンパク質、総アミノ酸、グルコース、ガラクトース、マンノース含有量は熱水抽出物よりも多く、温度上昇とともに抽出量も増大した。また、紅茶に重要な香気成分であるリナロール、ゲラニオール、リナロールオキサイド、サリチル酸メチルの量も、熱水抽出物に比べ増大し、亜臨界水抽出の中では、最も低温である110℃での抽出量が最も多かった。このことは、抽出温度が上昇するにつれて香気成分の抽出量が増大した烏龍茶の亜臨界水抽出と異なる結果となり、発酵程度の違いによるものと考えられた。