著者
横田 正 河合 智也 木戸 康嗣 高橋 しほり 宮下 知也 衛藤 英男
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.231-234, 2016 (Released:2017-01-12)

紅茶は世界中で飲料される嗜好飲料の一つである。著者らは、緑茶の亜臨界水抽出物が、高濃度カテキン含有でありながら苦渋味を抑制し飲みやすい飲料となったことや、低品質烏龍茶の亜臨界水抽出物は、香気成分が増加し高品質化に適していることを報告した。そこで、紅茶を亜臨界水抽出することにより、香気成分などをはじめとした多くの成分を抽出することができ、新たな飲料の開発に繋がると考え、紅茶の熱水抽出物と亜臨界水抽出物との官能評価、各成分の比較を行った。官能評価では亜臨界水抽出物のほうが、熱水抽出物よりも優れており、3 MPa、140 ℃での抽出が最も良好であった。凍結乾燥物重量、タンパク質、総アミノ酸、グルコース、ガラクトース、マンノース含有量は熱水抽出物よりも多く、温度上昇とともに抽出量も増大した。また、紅茶に重要な香気成分であるリナロール、ゲラニオール、リナロールオキサイド、サリチル酸メチルの量も、熱水抽出物に比べ増大し、亜臨界水抽出の中では、最も低温である110℃での抽出量が最も多かった。このことは、抽出温度が上昇するにつれて香気成分の抽出量が増大した烏龍茶の亜臨界水抽出と異なる結果となり、発酵程度の違いによるものと考えられた。