著者
塚田 啓二 神鳥 明彦 宮下 豪 山田 さつき 堀米 仁志 寺田 康 三井 利夫 山口 巖
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.423-431, 2001-05-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
19

超伝導量子干渉素子SQUID(superconducting quantum interference device)を用いた心磁計を開発し,胎児から成人に至るまでの心臓の電気生理学的活動に伴って発生する磁場が多点同時計測できるようになった.ここで,磁場計測(心磁図)の特徴について,体表面での電位計測(心電図)と比較考察した.体内での導電率の不均一性および低導電率により心電図で困難であった背面側の情報や胎児の心電情報が,磁場では信号の減衰がなく計測できることがわかった.また,心磁計測により心臓内の電流を二次元投射された画像を得るために,従来の体表面に垂直な法線成分表示に加え,解析的に算出した接線成分の同時表示を行った.これにより,心筋での複数興奮部位の存在,不整脈における興奮過程や,早期興奮部位の推定が可能になった.また,虚血性心疾患による心筋各部位での再分極や脱分極における電流分布の異常性を,電流積分図により判定が容易になった.これら,胎児心磁,複数興奮部位の視覚化,不整脈起源の画像化,虚血性心筋における異常電流分布マッピング等について具体例を示し,心磁の特徴について報告する.