著者
鈴木 久史
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.217, 2009

〈はじめに〉肺癌は国内における癌死亡原因の第1位であり,肺癌による死亡数は依然増加傾向にある。肺癌の根治治療には手術が不可欠であるが,肺癌は症状が出現してからの受診では診断時に進行癌であることが多く,手術不可能例も少なくない。当院では2年前に呼吸器外科を開設し,肺癌手術が行える体制を整えた。今回我々は,呼吸器外科開設以来,当院で行った肺癌切除症例を見直し,どのような経緯で切除可能肺癌が発見されたかについて検討した。<br>〈対象と方法〉呼吸器外科が開設された2007年4月より現在までの2年間で行われた肺癌手術症例42例を対象とし,受診経緯を中心に症例の比較検討を行った。<br>〈結果〉肺癌切除症例数は,男性33人,女性9人の計42人。平均年齢は男性71.1歳,女性63.4歳であった。受診経緯については,健診発見が18例(42.9%),他疾患フォロー中の発見が13例(31.0%),有症状受診が9例(21.4%),その他2例(4.7%)であった。他疾患フォロー中の症例については,一般消化器外科,泌尿器科,内科,脳外科,眼科など多方面からの紹介で発見された。発見時の腫瘍の大きさは各群で有意な差はなかったが,病理病期に関しては健診発見群で早期の割合が多かった。一方,有症状受診群では早期症例は少ない傾向にあった。<br>〈考察〉切除可能な肺癌症例を発見するためには,症状の出ないうちに早期発見することが重要であるが,今回の結果より健診の役割が高いことが改めて示された。さらに他疾患フォロー中に発見される例も多いため,呼吸器科以外で胸部異常影を確認した場合は,呼吸器科への速やかなコンサルテーションが望まれる。そのためにも各科間でスムーズな情報交換ができる院内環境も重要であると考えられた。