著者
宮内 佐夜香
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.1-16, 2007-10

本稿では、近代語逆接確定条件表現において中心的に用いられる接続助詞ケレド類について、接続助詞ガと比較しながら、江戸語・明治期東京語を対象に調査し、その特徴と変化について論じた。使用率では、江戸語はガが優勢であったが、江戸後期から明治期にかけてケレド類が増加する。形態面では、江戸語において<ケド>は認められず、明治期になってから<ケド>が散見されるようになる。機能面では、江戸語・明治期東京語におけるケレド類は、逆接的意味のない用法ではほとんど用いられないという、ガとの相違が認められたが、江戸語と明治期東京語とを比較すると、明治期に至って、逆接的でないケレド類が江戸後期より増加するという、時代的変化も確認された。以上のように、ケレド類の使用には、使用率・形態・機能の3つの面において、江戸後期から明治期にかけて変化傾向がみられることが分かった。
著者
宮内 佐夜香
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は近世・近代の日本語における逆接接続詞の発達を調査することを目的としたものである。主な対象は「ソレダガ」「ダケド」などの指示詞や断定辞と接続助詞を構成要素とする接続詞的形式であり、近世後期から明治期において、どのようにその形態と機能が推移したのかを明らかにした。また、このような分析の前提として、接続助詞の使用状況を精査することが重要であるため、近世上方語の逆接の接続助詞の使用実態を記述し、近世後期については江戸語・東京語との対照を行った。また、近年整備されつつある近世・近代資料のコーパスを活用し、本研究課題の成果と関連する接続助詞を指標とした文体研究を行った。