著者
中里 トシ子 宮崎 一恵 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-228, 1984-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

かき卵汁の清澄度について検討した結果を要約すると次のとおりである.1) 水を用いたかき卵汁と煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, しょうゆを加えた汁以外のかき卵汁では, 煮出し汁を用いた場合に清澄度が高いことが危険率1%で認められた.水を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 調味料無添加の汁が最も低い.煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 食塩, しょうゆを加えた汁は無添加の汁より低い.2) 卵濃度5%のかき卵汁では, 食塩濃度が増加するにしたがって清澄度が低く, 卵濃度を10%にしたかき卵汁では, 食塩濃度1%の汁の清澄度が高い.3) 汁の中に卵液を加えるさい, 卵の加熱温度が高くなるに従って清澄度は高い.4) 卵黄のみを用いたかき卵汁では, 98℃前後で加熱しても汁全体が白濁して清澄度が低い.卵白のみを用いたかき卵汁は, 清澄度が高く, 80℃で加熱した場合でも全卵で98℃前後で加熱したかき卵汁の清澄度とほとんど同程度である.5) 産卵当日の卵は, 清澄度にばらつきがみられるが, 産卵後7日前後経過した卵を用いた汁の清澄度は高く, 安定している.6) かつお節使用量1%より2%の煮出し汁を用いたかき卵汁のほうが清澄度は高い.