著者
中里 トシ子 白石 芳子 水上 恵美 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.38-44, 1974-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

小型ガスオーブンを用いて焙焼条件がパウンドケーキの品質におよぼす影響について研究した.焙焼温度は150℃から190℃までの範囲で, 焙焼時間は25-55分の範囲で行なった.本実験によって得た事項を要約すると次のとおりである.1) 焙焼温度と焙焼時間によっては, ケーキの膨化率, かたさ, 水分には有意差は認められなかった.2) 焼き色は各温度ともに第2, 第3水準の焙焼時間がよかった.形状の点からは170℃で40分と45分, 180℃で35分と40分, 190℃では30分と35分焼いたケーキがよかった.評価の合計点から見ると180℃, 35分のケーキが最もすぐれ, α化度は75%であった.3) 焙焼中のガス消費量は焙焼温度5水準問には有意差がなく, 焙焼時間3水準間には有意差が認められた.
著者
市川 朝子 佐々木 市枝 佐々木 由美子 中里 トシ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.829-837, 1988

1) ケーキ生地の比重は, バター添加量の増加につれて高く, また, 別立て法の場合に高くなった.比容積は, バター量の少ないものほど高く, また, 共立て法の場合に高くなった.この比重と比容積値の間には, 相関係数<I>r</I>=0.748 という高い正の相関関係が認められた.<BR>2) ケーキの水分量と糊化度の問には, 相関係数 <I>r</I>=0.748 と高い正の相関関係が認められた.<BR>3) ケーキの糊化度は, バター添加量が多くなると小さくなる傾向を, また別立て法は共立て法より小さくなる傾向を示した。別立て法でバター量 0 のケーキは, 冷凍貯蔵中の糊化度の変化がとくに顕著であった.これに対し, バターを加えたケーキは, とくに共立て法の場合, 冷凍貯蔵中の値の低下が抑制された.<BR>4) 官能検査の結果から, 嗜好的には共立て法が別立て法に比べて好まれ, 別立て法は冷凍貯蔵した場合, とくに好まれない.共立て法でバターを加えたケーキは, 焼きあがり当日も, 冷凍7日後もほとんど差はみられず, もろさの面ではむしろ後老のほうが好まれた, 以上を考えあわせると, ケーキを冷凍貯蔵する場合は, 共立て法で, バターを粉の 20~40% 量加えた試料が総合的に好まれるといえよう.<BR>5) 対照として行った冷蔵貯蔵7日のケーキの性状は, 同じ期間冷凍貯蔵したケーキに比べ, 水分, 糊化度, 弾力性についてはかなり低い値を, 凝集性はやや低い値を, また硬さはかなり高い値を示した.<BR>従来から共立て法のケーキは日持ちがよい, といわれてきたことが, 今回の糊化度および官能検査の結果から支持された.
著者
中里 トシ子 下坂 智恵 松井 能子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.216-221, 1991-08-20
被引用文献数
4

ライ麦粉添加食パンに,クエン酸カルシウムおよびレモン汁を添加したときの,パンの品質や性状について検討を行った。1.官能検査において,クエン酸カルシウムを添加したパンは,弾力の点で好まれず,硬く,ぱさついたパンであり,香りの点では対照のパンよりも好まれた。レモン汁を1%添加したパンは香りがよく,弾力の点で好まれ,やわらかく,ぱさつかないパンという評価であった。2.クリープメータによるパンの硬さでは,対照パンに比ベクエン酸カルシウムおよびレモン汁0.5%添加したパンは硬い傾向を示し,レモン汁添加量を1,2,3%と増加させるに従ってやわらかくなる傾向がみられた。凝集性では,レモン汁1%以上添加したパンは,対照より高い値を示した。硬さと凝集性の間に負の相関が認められた。3.混捏直後,1次発酵後,2次発酵後のpHを測定したところ,いずれの生地も発酵時間が進むにつれてpHは低下し,レモン汁を添加した生地のpHは,レモン汁の添加量が増加するにつれて低下した。4.ライ麦粉添加食パンの生地の膨化率を測定した結果,ライ麦粉40%添加した生地の方が50%添加したものよりも膨化がよかった。レモン汁を添加すると,生地の膨化はよくなる傾向にあるが,レモン汁を3%添加した生地は,対照とほぼ同じ値であった。5.パンの比容積は,ライ麦粉40%添加食パンの方が50%添加食パンよりも大きく,レモン汁を1%添加したパンが最も大きかった。

1 0 0 0 OA 煮豆

著者
中里 トシ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.259-262, 1990-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
著者
中里 トシ子 宮崎 一恵 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-228, 1984-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

かき卵汁の清澄度について検討した結果を要約すると次のとおりである.1) 水を用いたかき卵汁と煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, しょうゆを加えた汁以外のかき卵汁では, 煮出し汁を用いた場合に清澄度が高いことが危険率1%で認められた.水を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 調味料無添加の汁が最も低い.煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 食塩, しょうゆを加えた汁は無添加の汁より低い.2) 卵濃度5%のかき卵汁では, 食塩濃度が増加するにしたがって清澄度が低く, 卵濃度を10%にしたかき卵汁では, 食塩濃度1%の汁の清澄度が高い.3) 汁の中に卵液を加えるさい, 卵の加熱温度が高くなるに従って清澄度は高い.4) 卵黄のみを用いたかき卵汁では, 98℃前後で加熱しても汁全体が白濁して清澄度が低い.卵白のみを用いたかき卵汁は, 清澄度が高く, 80℃で加熱した場合でも全卵で98℃前後で加熱したかき卵汁の清澄度とほとんど同程度である.5) 産卵当日の卵は, 清澄度にばらつきがみられるが, 産卵後7日前後経過した卵を用いた汁の清澄度は高く, 安定している.6) かつお節使用量1%より2%の煮出し汁を用いたかき卵汁のほうが清澄度は高い.
著者
中里 トシ子 長谷川 千佳子 村上 智子 横田 聖子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.381-386, 2000-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15

Gomadango was made by adding 10,20 or 30% of wheat starch or wheat flour to glutinous rice flour. The effect of those additions on the formability and taste of gomadango were examined.The breaking stress of the dough was initially decreased by the addition of wheat starch and wheat flour, but after steaming, increased to a higher value than the control with no addition.The percentage weight loss of gomadango was increased with increasing amo unt of added wheat starch and wheat flour. This weight loss was larger with wheat flour than that with wheat starch.The formability of gomadango was enhanced by the addition of wheat starch and wheat flour to result in a better appearance than that with no addition. The color of gomadango added with wheat flour was deeper, this depth of coloratin increasing with the amount of wheat flour added.A sensory test showed that gomadango samples with 10% wheat starch and 10% w heat flour were preferred to the control sample without either of these additives in the total evaluation, while the sample with 10% wheat flour had the most favourable color and flavor.
著者
中里 トシ子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.134-143, 1977-09-20

ガス超高速レンジを用いて天板の温度変化と温度分布を測定し,スポンジケーキ,およびパウンドケーキを焙焼した。本実験で得た事項を要約すると次の通りである。1)中段の天板の中心部の温度変化は,所定の温度に達すると作動ランプが消え,自動的に点滅しはじめ2分以後に安定する。所定の温度に達するまでの時間は160℃で4分30秒前後かかり,温度が20℃高まると作動ランプが消えるのに約1分ほど長くなる。2)天板の温度分布は上段では右後方が最も高く,左前方が最も低い。中段では後方が高く前方が低い。下段では左後方が最も高く,右前方が最も低い。しかしその温度差も2分後には±2℃〜4℃となる。3)上・中・下段の天板の中心部の温度分布は,天板1枚ずつ入れた場合には有意差がなく,上・中・下段に3枚の天板を同時に入れた場合は,中段が最も低く,上段,下段の順に高くなっている。しかしその温度差も3分後には±1℃〜2℃となる。4)スポンジケーキの焼き色は,上・中・下段で別々に1枚ずつ焙焼した場合には,ほとんど均一でよい結果が得られた。しかし上・中・下段で同時に3枚のケーキを焙焼した場合は,中段は焼きむらがなくよく焼け,上段は焼き色が濃く,焼きむらがあり,下段は焼き色が薄く,焼きむらがみられた。5)パウンドケーキを1本焼く場合は,170℃36分焙焼した結果がよく,2本または4本同時に焼く場合には,180℃35分焙焼したケーキによい結果が得られた。6)ガス消費量はスポンジケーキ,パウンドケーキ,いずれの場合も同時に多くのケーキを焙焼したほうが,1個当たりのガス消費量が従来のガスオーブンより少ない。したがって超高速レンジは,同時に多くの調理をする大量炊事(集団給食)や学校調理に用いることが時間的にも,ガス消費量の面からも経済的である。終りに本研究に関し,終始ご懇切にご指導いただきました山崎清子教授に深く感謝申し上げます。また,本実験にいろいろ御協力下さいました皆川知子助手,ならびにご便宜をいただきました東京瓦斯株式会杜に厚くお礼申し上げます。