著者
張 涵泳 沖井 英里香 後藤 栄治 宮原 文彦 宮崎 潤二 前田 一 古澤 英生 宮里 学 吉田 茂二郎 白石 進
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.88-93, 2019-04-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
31

九州の8地域に生息するマツノザイセンチュウの遺伝的多様性と遺伝的構造の解明を10個のEST遺伝子座の塩基配列多型を用いて行った。九州全域の遺伝子分化係数(GST)は0.53で,全遺伝子多様度(HT=0.63)の半分以上が地域集団間に存在し,集団間に大きな差異があった。8地域集団のHTは0.12~0.59であり,多様性に富んでいたのは,川内,新富,松浦,唐津(0.59,0.57,0.56,0.55)で,地域集団内におけるGST(0.43,0.35,0.25,0.25)も高く,被害木内集団(亜集団)間に大きな差違があった。一方,多様性が特に低いのは,天草,宮崎(0.12,0.18)で,そのGSTも小さく(0.01,0.02),亜集団間の違いは極めて小さかった。これらの2集団の形成には,ボトルネック/創始者効果が影響していることが示唆された。九州では地域集団が保有する多様性の二極化が進行していると思われる。
著者
樋口 健吾 山口 寿 釜崎 敏彦 有川 康弘 金ヶ江 光生 宮崎 潤 千葉 憲哉
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.832-832, 2003

【はじめに】H14年4月1日より大幅な診療報酬改正が施行され、理学療法の請求項目は、複雑・簡単から個別・集団という個別制から単位制に改正された。そこで今回我々は、当院における診療報酬改正前後の6ヶ月間(4月から9月)の患者動向を調査し、1.改正前後の外来患者数の増減について調査すること、2.診療報酬改正が理学療法業務に及ぼす影響について検討することを目的とした。【対象・方法】2001年、2002年の4月から9月までの6ヶ月間に、当院のリハビリテーション科を受診した全患者を対象とした。方法については、毎日の業務日誌より、2001年をA群、2002年をB群とし、一日の外来患者合計数、月別(4月から9月)、曜日別、天候別(降水の有無)患者数を抽出し、それぞれの項目について比較検討した。尚、土曜日については、勤務時間が異なるため除外した。統計処理については、SPSS Ver.10.0の統計ソフトを用い、対応のないt検定にて有意水準5%未満とした。【結果】年別では合計患者数に有意な差(p<0.05)があり、また、月別では4月から8月までは有意な差(p<0.05)があったが、9月においては有意な差がなかった。曜日別では対応する曜日で有意な差(p<0.05)があり、また、A群では火・水・木曜日それぞれの関連に有意差はなく、B群では火・木及び水・金曜日の関連に有意差はなかった。天候別ではそれぞれに有意な差(p<0.05)があった。また、A、B群共に天候別での有意な差はなかった。【考察】当院における年別、月別、曜日別、天候別での一日当たりの合計患者数は、月別における9月の比較を除いて、すべてA群よりもB群の方が有意に患者数は減少しているという結果が得られた。9月に差が生じなかったのは、2002年10月より老人の医療費負担が1割となることでB群9月の老人患者数が増大したことが考えられ、その他の4月から8月に関しては、当院が総合リハビリテーション承認施設であり、点数が175(簡単)点から250(個別)点へと患者の負担が増大するケースもあり、患者一人当たりの来院回数が減少したことが考えられる。また、曜日別においては、最も患者数が多いのはA、B群共に月曜日で、次いで金曜日、少ないのはA群では火・水・木曜日、B群では火・木曜日であった。これにより、週始めの月曜日と週末の金曜日に患者が集中することが示唆された。また天候別では、雨が降ったからといって患者数が少ないということは否定された。個別制から単位制の導入により、我々理学療法士には、患者数を伸ばすことよりも、一日・一月当たりの法定数を考えた事務作業が重要となってきた。日々の理学療法業務を円滑に行うためには、今後、外来患者の動向を予測することが重要となってきているが、対象が個人レベルであるため、非常に困難だと考えられる。今回の結果より、曜日によって外来患者数は変動することが示唆されたため、効率良い事務管理を行うには、患者を分散させ、予約制の導入を検討する必要性があると思われる。