著者
上野 貴弘 宮嶋 照行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.7, pp.898-906, 2012-07-01

スパース通信路はそのインパルス応答が非常に少数の非ゼロタップをもつものであり,様々な通信環境において観測されている.本論文では,OFDMシステムにおけるスパース通信路のブラインド推定について検討している.通信路推定は,パイロット信号を用いない非ゼロタップ検出と,その検出結果を用いたタップ係数推定の二段階で行われる.提案するブラインド非ゼロタップ位置検出法はサイクリック・プリフィックスの性質を利用した統計的な手法によりタップ係数の大きさを求め,しきい値判定により非ゼロタップを検出する.この非ゼロタップ検出結果を従来のSIMOシステムにおけるブラインド通信路推定法に組み合わせる方法を検討している.推定すべきタップ数が減少するため,通信路推定性能が大幅に向上することが期待できる.計算機シミュレーションにより,提案法により通信路が既知の場合と同等のビット誤り率特性が得られることを示している.