著者
浅原 有揮 余郷 麻希子 宮川 晋治 鈴木 正彦
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001396, (Released:2020-09-05)
参考文献数
23

早期ステロイド・パルス治療後,後療法なしで1年間再発のなかったchronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(CLIPPERS)の37歳男性例を報告する.左半身表在覚低下,失調性歩行障害で来院し,橋のT2高信号病変と多発点状造影効果を認めた.第20病日からステロイド・パルス治療を行い寛解後,1年間再発を認めなかった.CLIPPERSは後療法なしでは再発する報告が多く慎重な経過観察を要するが,貴重な症例と考えられ報告した.
著者
平井 利明 宮川 晋治 松井 和隆 栗田 正
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.585-588, 2014-07-01 (Released:2014-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は30歳の男性である.発熱後に2週間で顔面の灼熱痛,咀嚼困難をみとめ入院した.両側三叉神経の運動感覚障害,左顔面神経麻痺,感音性難聴,ぶどう膜炎,耳下腺腫脹をみとめた.両側肺門部リンパ節腫脹,血清ACE上昇,ツベルクリン反応陰性,口唇粘膜生検で非乾酪性類上皮性肉芽腫をみとめ,完全型Heerfordt症候群と診断した.下顎皮膚組織に対するPGP9.5抗体をもちいた免疫染色でsmall fiber neuropathy(SFN)をみとめた.顔面痛は難治性で,発症3年後に急性膵炎で死亡した.剖検ではサルコイド結節をみとめなかったことから,難治性顔面痛の原因としてSFNの関与が強くうたがわれ報告する.