著者
西 智弘 森 雅紀 松本 禎久 佐藤 恭子 上元 洵子 宮本 信吾 三浦 智史 厨 芽衣子 中野 貴美子 佐藤 一樹 下井 辰徳 田上 恵太 江角 悠太 坂井 大介 古川 孝広 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.184-191, 2013 (Released:2013-07-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

【背景】わが国における緩和ケアの需要は年々高まり, 緩和ケア医の養成は重要な課題である. しかし, 緩和ケア医を目指す若手医師が, 教育研修体制やキャリア構築などに対して, どのような満たされないニーズを抱えているかは明らかになっていない. 【目的】緩和ケア医を目指す若手医師が抱えるニーズを明らかにする. 【方法】卒後15年目までの医師を対象にグループディスカッションを中心としたフォーラムを行い「必要としているけれども十分に満たされていないことは?」などに対する意見をテーマ分析を用いて分析した. 【結果】40名の医師が参加した. 若手の抱えるニーズは, 「人手の確保」「研修プログラム・教育の質の担保」「ネットワークの充実」「緩和ケア医を続けていくことへの障害の除去」「専門医として成長する道筋の確立」であることが示された. 【結論】緩和ケア医を育成していくため, これら満たされないニーズの解決を議論していくべきである.
著者
野里 洵子 宮本 信吾 森 雅紀 松本 禎久 西 智弘 木澤 義之 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.297-303, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
24

【目的】緩和ケアの研修・自己研鑽に関するニーズに影響する要因を探索すること.【方法】緩和ケア医を志す卒後15年以内の医師を対象に質問紙調査を行い,満たされないニーズ(以下ニーズ)を5件法で評価した.ニーズは因子分析を行い,各因子の平均点を従属変数,背景要因を独立変数として単変量解析を行った.【結果】対象者284名に対して回答者は253名(89%),初期研修医・緩和ケア専門医などを除く229名を解析対象とした.ニーズは,研究・時間・キャリア・ネットワーク・質・幅広さの6つの因子が同定された.ニーズの因子得点に効果量≥0.4の有意差があった背景要因は,1)認定研修施設に勤務していない,2)勤務先・研修先が大病院ではない,3)施設内緩和ケア医数が2名以下であった.【考察】認定研修施設ではない病院,または小規模,または緩和ケア医の少ない環境で働く若手医師が受ける研修体制の改善は優先度が高い課題と考えられる.
著者
宮本 信吾 大熊 裕介 高木 雄亮 下川 恒生 細見 幸生 井口 万里 岡村 樹 澁谷 昌彦
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.119-125, 2011 (Released:2011-04-20)
参考文献数
11

【目的】非小細胞肺がんに対する終末期epidermal growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor (EGFR-TKI)継続投与の意義を検討した. 【方法】EGFR-TKIが以前は治療効果を示したものの増悪し, 最終の化学療法がEGFR-TKIであった非小細胞肺がん患者33例を対象とし, EGFR-TKIを1カ月以内に中止した群(16人)と継続した群(17人)を比較した. 【結果】生存期間中央値は, 継続群191日, 中止群62日であり, EGFR-TKI継続群で有意に長かった(p=0.0098). 継続投与群における有害事象は, Grade 1の皮疹が6人, Grade 2の皮疹が1人, Grade 1の下痢が1人, Grade 1のAST/ALT上昇が4人認められたものの, 制御不能な有害事象は認められなかった. 【結語】EGFR-TKIが奏効したものの, その後, 増悪し, 殺細胞性抗がん剤による治療が困難な非小細胞肺がん患者において, 重篤な有害事象は少なく, 生存期間が延長する可能性もあるEGFR-TKIの継続投与は, さらに検討を進める必要がある. Palliat Care Res 2011; 6(1): 119-125