- 著者
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黒瀬 聖司
今井 優
別府 浩毅
内藤 玲
宮本 雅子
桝田 出
- 出版者
- THE JAPAN DIABETES SOCIETY
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.8, pp.631-635, 2010-08-30
心拍数減衰応答(HRR)を用いた糖尿病患者の運動強度設定法について検討した.対象は糖尿病教育入院患者45名である.HRRはトレッドミル運動負荷試験終了時から直後1分目の心拍数減衰値と定義し,HRR>18拍/分を正常群,≦18拍/分を低下群に分類した.また心肺運動負荷試験から嫌気性代謝閾値(AT)を測定し,Karvonen法によりATに相当するestimated-kを求めた.その結果,HRRの低下は48.9%に認めた.estimated-kは正常群0.37±0.12,低下群0.27±0.14であり有意な差を認めた(p<0.05).HRRはestimated-kとの間に正の相関関係(r=0.39,p<0.01)を認めた.またestimated-kに影響する因子の多変量解析の結果,HRRが抽出された.以上から,HRRが低い症例ではk値すなわち目標心拍数を低めに設定することが必要と考えられ,HRR低下群ではk=0.27が適当と考えられた.<br>