著者
宮武 伸一 田代 弦 織田 祥史
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1.脳腫瘍細胞へのインターロイキン7遺伝子の導入:脳腫瘍細胞にウイルス発現ベクターに組み込んだインターロイキン7遺伝子を導入し発現させた。この腫瘍細胞を宿主マウスに移植すると,インターロイキンを導入されていない腫瘍細胞やネオ遺伝子のみを導入された。腫瘍細胞と異なり、生着せずにリジェクトされた、これは,腫瘍細胞から生成されるインターロイキン7が宿主マウスの免疫能を高めたことによると思われる。2.マクロファージの殺腫瘍細胞効果の,インターロイキンによる賦活:マウス脾臓より収集したマクロファージをインターロイキンやインターフェロンなどのサイトカインで処理すると,マウス腫瘍細胞に対する殺細胞効果の増加が確認された。3.脳腫瘍特異抗原を認識する放射性同位元素で標識したマウウスモノクローナル抗体による脳腫瘍組織のイメージング:我々の施設及び共同研究施設で開発したヒト神経膠腫特異抗原を認識する抗体をFab2のかたちに加工し,これを131-I及び111-Inで標識した。この標識抗体を,ヒト神経膠芽腫細胞U-87MGを移植したBalbnu/nuのヌードマウスに,尾静脈から投与した。その後の,臓器移行,排出をガンマカウンターやガンマカメラでしらべたところ,他の臓器に比較して腫瘍移行性が良好であり,腫瘍の放射性同位元素によるイメージングに充分使用できるものであると,判断された。4.今後の展望としては,サイトカイン遺伝子の導入をin vivoのレベルでできるだけ,腫瘍細胞に限定して行うために,腫瘍特異的発現ベクターの開発及び腫瘍特異的抗体を用いた標的化を考えている。
著者
宮武 伸一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.605-612, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

悪性腫瘍に対する新規放射線 (粒子線) 治療法として, ホウ素中性子捕捉療法 (boron neutron capture therapy : BNCT) が提唱されている. われわれは2002年より本治療法をのべ133例に及ぶ悪性神経膠腫と悪性髄膜腫に適応してきた. また最近, 症候性脳放射線壊死に対する抗血管新生療法を積極的に展開している. 本論文では, 第32回日本脳神経外科コングレス総会「グリオーマ 新しい時代の到来」において発表した上記内容に若干の加筆を行い, ここに発表した.