著者
鈴木 博人 宮腰 寛之 山本 俊六 是永 将宏 鈴木 亘 青井 真
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.40, no.S08, pp.191-206, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
22

高速鉄道では,地震発生時に速やかに列車を減速・停車させることが重要である。新幹線では,線路沿線や線路から離れたより震源に近い地点に設置された地震計で観測される地震情報を利用して,線路に主要動が到達する前に列車を減速・停止させる早期地震検知システムが構築されている。近年,太平洋沖に海底地震計の観測網が整備された。海底地震計を早期地震検知システムに利用することができれば,東北地方太平洋沖地震などの沈み込み帯で発生する地震をより早く検知できると期待される。そこで,新幹線の早期地震検知システムに海底地震計を利用する方法を開発し,海底地震計のしきい値の設定方法や誤警報の防止方法を提案した。さらに,海底地震計を早期地震検知システムに利用することの効果を検証した。JR 東日本では,房総沖のエリアの海底地震計を2017年11月1日に,茨城・福島沖から青森・釧路沖のエリアを2019年1月25日に利用開始した。