著者
早坂 貴代史 宮谷内 留行 宮本 進 荒井 輝男 鷹取 雅仁 田中 慧 佐々木 久仁雄 三浦 祐輔
出版者
日本家畜管理研究会(現 日本家畜管理学会)
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.65-72, 1990-03-16 (Released:2017-10-03)
被引用文献数
1

舎内気温の違いによる採食・反芻行動の変化を検討するために、夏と冬の各5日間、北海道東部の生産的実験牧場において泌乳前期の牛6頭の行動を肉眼観察した。乾物あたり可消化養分総量を73〜74%、粗蛋白質を14〜16%、粗飼料率を55%に調整した混合飼料をおよそ1日4〜5回にわけて個別給餌し、以下の結果を得た。 1)舎内気温と同相対湿度は、夏が25.0℃、83%、冬は6.3℃、75%であった。 2)乾物摂取量は、夏が22.5kg、冬が24.8kgであった。 3)日採食時間は夏が262分、冬が343分であり、夏は給餌刺激にもとづく採食時間が日採食時間の79%を占めたのに対し、冬は53%であった。 4)日反芻時間は夏が476分、冬が485分であった。以上から、夏の採食時間の減少ならびに給餌したときの集中的な採食行動を高温環境によるものと仮定し、高温時における代謝産物の生成の変化、体熱産生量の抑制反応、および飼槽内飼料の経時的な劣化にその違いの根拠を求めた。 家畜の管理、25(3) : 65-72.1990.1990年1月12日受理