著者
宮越 規彰 竹内 勇剛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J102-A, no.2, pp.93-105, 2019-02-01

本研究ではWWW閲覧者の環境に左右されず,書体変化が容易なWebフォントを活用し,Webサイトに表示されるテキストコンテンツの書体を変化させることによって,ユーザへ与える認知的効果を調査した.実施した実験では,高級感が強いと評定された書体と低いと評定された書体との間の同一コンテンツに対するユーザの反応に着目し,書体の変化が向社会的行為に影響を与えるという仮説に基づき,仮想的な寄付行動に伴う額の大きさに与える効果を検証した.その結果,Webフォントによる書体変化の順序の違いによってユーザが寄付を試みる額に違いが観察され,Webフォントを用いてユーザの行動に対して作為的な操作を与えることが可能であることが示唆された.これにより,書体がユーザに与える認知的効果を活かしたサービス開発や表現に本研究の知見が貢献することが期待される.