著者
宮﨑 美砂子 上田 修代
出版者
千葉看護学会
雑誌
千葉看護学会会誌 (ISSN:13448846)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.61-68, 2010-08

Literature Review of Reflection and Nursing Practitioners This study examines the effects of reflection and issues in research based on a literature review of nursing practitioners and reflection. We searched for studies published from 1983 to 2010 using Igakuchuouzasshi (Japanese medical literature database) and the following keywords: nursing, reflection, and naisei, syousatu, and hannsei, three Japanese words meaning reflection. Seventeen studies were analyzed and three methods of reflection were discovered. The first method is recording one's thoughts and experiences much like a diary. The second method two people talking as between a researcher and patient. The third method is a group process much like a conference. The reflection generated an increased concern and desire for deepening understanding of patients and colleagues by exploring the meaning of a nursing practice.As expectations of the impact of reflecting on nursing, the nursing method was discovered. This method was constructed specifically for nursing practice. The result was an improvement in constructive help and clinical ability. Issues of research, Talking about nursing person's feelings,relation of nursing practitioners and patient, nursing practitioners deeply understand the patient. The meaning of nursing practice is understood through critical reflection. After reflection, nursing practitioners understand their basic abilities. Using reflection studies is mandatory for nursingpractitioners because critical reflection increases nursing skills and perceptions about nursing. After understanding nursing skills and perceptions about nursing, the next step is examining the meaning of the individual nurse's practice. This step becomes the basis of the individual's special ability.目的は,看護職者自身による看護実践のリフレクションに関する国内文献を対象に,リフレクションの内容やリフレクションによって期待される看護実践への効果等を検討することにより,看護学領域におけるリフレクション研究に関して,今後取り組むべき課題を明らかにすることである。文献検索は,医学中央雑誌web ver.4を使用し2010年3月6日に実施した。キーワードは,「看護」に「リフレクション」「内省」「省察」「反省」とし,期間は1983年-2010年で原著論文のみ検索した。検索結果から,看護職自身がリフレクションしている内容を取り扱った文献を選定し,最終的に17文献を分析対象とした。結果は,リフレクションを促す方法の性質として,日記等のように自身で自由な内容を記録する1人で実施するもの,他者との1対1の関わりにより実施するもの,カンファレンス等のような複数人が一堂に会して実施するものがあった。リフレクションによって生じた内面的変化は,患者や同僚への理解の深まり,看護への関心や意欲の高まり等があった。期待される看護実践への効果として,支援方法を見出す,積極的な看護実践,関係を強める・構築する,臨床能力の向上等があった。取り組むべき課題として,看護職者自身の感情や情動について詳細な語りを引き出すこと,場の醸成,看護職者の自己成長等につながった対象者への理解の深まり,援助関係を強めていく看護職者と対象者との関係等を明らかにしていく必要性が見出された。
著者
小林 真朝 麻原 きよみ 大森 純子 宮﨑 美砂子 宮﨑 紀枝 安齋 由貴子 小野 若菜子 三森 寧子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.25-33, 2018 (Released:2018-02-10)
参考文献数
14

目的 公衆衛生看護の倫理に関するモデルカリキュラム・教育方法・教材開発のために,全国の保健師養成機関における倫理教育に関する実態を把握することを目的とした。方法 全国の保健師養成機関(専修学校(1年課程の保健師養成所,4年課程の保健看護統合カリキュラム校),短大専攻科,大学)229校に質問紙を送付し,公衆衛生看護教育を担当する教員に回答を求めた。 質問紙の内容は,回答者および所属機関の属性や保健師資格教育の形態のほか,公衆衛生看護の倫理の独立・関連科目の有無と導入予定,公衆衛生看護以外の倫理科目,公衆衛生看護の倫理を学ぶことの重要性や望ましい対象など,担当できる教員の有無やその研修の必要性,教育にあたって必要な資源,公衆衛生看護の倫理として扱う内容などを尋ねた。回答は変数ごとの記述統計量を算出するとともに,自由記載の内容分析を行った。結果 全国の保健師養成機関に質問紙を送付し,89校(回収率38.9%)から回答を得た。保健師養成機関の内訳は大学78.7%,短大専攻科4.5%,専修学校9%であった。公衆衛生看護の倫理の独立科目はなく,9割近くは導入予定もなかった。42.7%が科目の一部で公衆衛生看護倫理を扱っていた。公衆衛生看護倫理を学ぶ重要性については「非常に重要・ある程度重要」を合わせて9割であった。58.4%が保健師教育において公衆衛生看護の倫理に関する授業を必須化する必要があると回答したが,倫理教育を担当する教員については4割以上が「いない」と回答した。教員の研修は8割以上が必要と答え,必要な研修形態は「専門職団体や学会などによる学外研修」が8割と最も多かった。必ず行う必要があると思われる公衆衛生看護の倫理教育の内容の上位は「公衆衛生看護実践者としての職業倫理」,「健康と基本的人権」,「個人情報とその保護」,「公衆衛生看護における倫理」,「公衆衛生看護における倫理的自己決定」であった。結論 公衆衛生看護倫理教育はその必要性は高く認識されているものの,実施率は低かった。モデルカリキュラム,教材,教授できる教員が不足していること,教授が必要とされる公衆衛生看護の倫理の教育内容が体系化されていない現状が明らかになった。公衆衛生看護倫理の定義の合意形成と,モデルカリキュラムと教育方法,教材の開発,教員の養成が急務であると考えられた。