著者
黒河 進 家安 健三 河野 正
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J69-C, no.4, pp.478-486, 1986-04-25

CR単同調増幅回路は,一般に,同調周波数を高くとる程,高選択率,高増幅度を得ることが困難となる.筆者らは,リアクタンス・トランジスタとして,高周波用電界効果トランジスタを用い,また,駆動回路の負荷であるCR同調回路をアース側に接続することにより,近接効果(body effect)を大いに軽減することができた.従って,このような増幅回路を2段縦続に接続して複同調増幅回路とすると,周波数帯域幅を拡大することができ,中心周波数455kHz,電圧利得,約80dBにおいても安定に動作することが分った.本論文では,このようなCR複同調増幅回路の周波数特性の解析を行い,所要の双峰特性を得るための計算式を示している.さらに,複同調増幅回路の2つの同調周波数を等しくすることにより得られる単峰特性は,単同調増幅回路の周波数特性に比べて,選択率が約55%大となり,また,特性の裾の部分の減衰特性を相当に改善することができる.なお,試作回路により,周波数特性を実測した結果,計算値と良く一致し,また,複同調増幅回路は,受信機の中間周波増幅回路としても充分使用し得るものと考えている.