著者
小玉 秀男
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J64-C, no.4, pp.237-241, 1981-04-25

ホログラフィー,透視図表示,等高線表示あるいは各種投影図面による表示など,3次元的な立体の形状を表示するための技法が種々考案されている.ホログラフィーを除いては,いずれも3次元情報を2次元情報に変換するという手順を含んでおり,立体形状の理解や感覚的は握のためには必ずしも充分な手法とはいえない.ホログラフィーにはこの種の欠点はないものの,再生装置が必要なことや,実在しない仮想物体の表示が困難であることなどの欠点がある.従って,現在のところ立体形状の感覚的は握のためには模型を作成することが最善であるが,模型作成には手間と費用がかかり,現実に作成されることは少ない.そこでこの研究では光を照射することにより固化する性質を持つ感光性樹脂を利用することにより,立体形状を自動的に作成する手法の可能性を検討した.この手法は紫外線照射という容易に自動化されうる単一の動作のみで,極めて複雑な形状をも作成可能なものであり,3次元情報の意味する形状が自動的に作成されうるものである.3次元情報のハードコピーに相当し,計算機システムの端末機器的な利用によって,3次元情報の新たな表示法になりうるものとして提案するものである.
著者
森島 保 早原 悦朗 松井 信行 平山 弘三
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子通信学会論文誌. C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J65-C, no.4, pp.257-262, 1982-04-20

DC-DCコンバータやDC-ACインバータに広く用いられているロイヤー回路は,回路構造が簡単にもかかわらず回路解析が面倒なため,従来,スイッチング時間や電力損失の評価はほとんどなされていなかった.本論文は比較的低負荷時のロイヤー回路の動作解析を行ったものである.回路素子のモデルは磁心のB-H特性は平行四辺形の折線で近似し,トランジスタは電荷蓄積効果を考慮した Ebers-Mollのモデルを用いた.又,計算方法は状態推移法を使用した.計算機によるシミュレーションの結果は実用上十分な精度であることを実験によっても確めた.
著者
内藤 喜之 水本 哲弥
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J69-C, no.3, pp.257-261, 1986-03-25

強磁性材料フェライトは,焼結フェライト,ゴムフェライトといった形で電波吸収体として用いられている.しかし,これらフェライトを用いた場合,電波吸収体の厚さを薄くするのにはある一定の限界がある.そこで,ゴムフェライト電波吸収体の厚さを薄くする目的でこれにカーボンを添加し,その電波吸収特性を検討した.その結果,カーボンをフェライトの数%~10数%(体積比)添加することによって吸収体厚を約30%薄くできることがわかった.吸収体の厚さを薄くすることはその重量を軽減することにつながる.さらに,フェライトに比べてカーボンの方が比重が小さいので,カーボン混入によって吸収体が薄層化されることは吸収体の軽量化に大きな効果をもつ.本論文はこれらカーボン添加ゴムフェライトの電波吸収特性をまとめたものである.
著者
高浪 五男 本多 波雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J54-C, no.3, pp.250-256, 1971-03-25

有限確定事象を拡張して,準有限確定事象と呼ぶ事象のクラスを定義する.まず,この事象のクラスの閉包的性質(closure property)を論ずる.つぎに,与えられたオートマトンが準有限確定事象を受理するオートマトン(準有限確定オートマトン)であるか否かを判定する方法と,準有限確定オートマトンが受理する語の集合の定められた形の正規表現を求める方法とを述べる.ついで,準有限確定事象の唯一な標準形を求める方法を与える.
著者
黒河 進 家安 健三 河野 正
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J69-C, no.4, pp.478-486, 1986-04-25

CR単同調増幅回路は,一般に,同調周波数を高くとる程,高選択率,高増幅度を得ることが困難となる.筆者らは,リアクタンス・トランジスタとして,高周波用電界効果トランジスタを用い,また,駆動回路の負荷であるCR同調回路をアース側に接続することにより,近接効果(body effect)を大いに軽減することができた.従って,このような増幅回路を2段縦続に接続して複同調増幅回路とすると,周波数帯域幅を拡大することができ,中心周波数455kHz,電圧利得,約80dBにおいても安定に動作することが分った.本論文では,このようなCR複同調増幅回路の周波数特性の解析を行い,所要の双峰特性を得るための計算式を示している.さらに,複同調増幅回路の2つの同調周波数を等しくすることにより得られる単峰特性は,単同調増幅回路の周波数特性に比べて,選択率が約55%大となり,また,特性の裾の部分の減衰特性を相当に改善することができる.なお,試作回路により,周波数特性を実測した結果,計算値と良く一致し,また,複同調増幅回路は,受信機の中間周波増幅回路としても充分使用し得るものと考えている.
著者
小玉 秀男
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.p237-241, 1981-04
被引用文献数
21
著者
庄子 習一 江刺 正喜 松尾 正之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J68-C, no.6, pp.475-481, 1985-06-25

生体計測を目的としたpNa,pK用ISFETの性能を向上させるため,そのイオン感応膜であるM2O-Al2O3-SiO2(MAS,M:アルカリ金属)膜のイオン選択性について研究を行った.MAS膜はpNa,pK用のガラス電極の材料として用いられているものであり,そのイオン選択性はMAS膜の組成に依存することが知られている.そこで,pNa,pK用ISFETのイオン選択性を最大にするため,MAS膜ゲートISFETのMAS膜組成を変化させイオン選択性を測定し,両者の関係を調べた.その結果,MAS膜ゲートISFETのNa+-K+イオン間の選択性はMAS膜のアルカリ金属の種類とアルカリ金属,アルミニウムの含有比の両方に依存することが確められ,pNa,pK用ISFETのイオン感応膜として最適な組成を決定することができた.pNa用のISFETとしてはアルカリ金属としてLiを含むLAS膜をイオン感応膜として用いK+イオンに対するNa+イオン選択性が約200倍で低ドリフト長寿命のものが実現できた.また,pK用ISFETとしてもKを含むKAS膜を用いることにより,Na+イオンに対するK+イオン選択性が約40倍のものが得られた.
著者
金田 悠紀夫 相磯 秀夫 淵 一博
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J52-C, no.5, pp.267-273, 1969-05-25

タイム・シェアリング・システムにおいては,多くのユーザ・プログラムに主記憶装置を有効に割当てる必要がある.その一方式として擬似ページ・アドレス方式を本論文で提案する.本方式は筆者らが開発したETSS(ETL's Time-Sharing System)に採用されていて,ほとんど特別なハードウェアなしでページングを実現し,ページングの利点を生かしてオーバヘッドの軽減に役立っている.またその効率についてもユーザ・プログラムがランダムおよびラウンド・ロビンの順で実行されているとした場合について統計的解析を行ない,その一般解が得られたのでそれを示す.また若干の計算例も得られたので,擬似ページ・アドレス方式の効果を示すものとして図2~図7に示した.