- 著者
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高橋 里沙
大淵 豊明
寳地 信介
竹内 頌子
大久保 淳一
池嵜 祥司
鈴木 秀明
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.116, no.7, pp.789-792, 2013-07-20 (Released:2013-09-14)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
-
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) において, 鼻腔抵抗はその病態と密接に関与している. 今回われわれはOSASに対する鼻中隔矯正術および粘膜下下鼻甲介骨切除術の効果について検討した.対象は, 鼻中隔彎曲症と肥厚性鼻炎による鼻閉を伴い, 内視鏡下鼻中隔矯正術と両側粘膜下下鼻甲介骨切除術を施行したOSAS患者9例 (男性8例, 女性1例; 平均年齢53.2歳) である. 術前後に終夜睡眠ポリグラフ検査と鼻腔通気度検査を行い, (1)無呼吸・低呼吸指数 (AHI), (2)最長無呼吸時間, (3)平均無呼吸時間, (4)最低血中酸素飽和度, (5)平均血中酸素飽和度, (6)血中酸素飽和度低下指数, (7)覚醒反応指数, (8)睡眠時間に対するいびき時間の割合の8つの無呼吸指標, および(9)鼻腔通気度について比較検討した. その結果, 術前に比して術後に, AHIの有意な低下 (27.6±5.3/時 vs. 20.7±5.5/時; p=0.033), 平均血中酸素飽和度の有意な上昇 (95.1±0.7% vs. 96.0±0.7%; p=0.023), および覚醒反応指数の有意な低下 (30.5±3.3/時 vs. 21.2±5.3/時; p=0.028) が認められた. また, 鼻腔通気度V (P100) は吸気呼気ともに有意に改善した (吸気: 474.4±49.0cm3/s vs. 842.7±50.2cm3/s; p=0.002, 呼気: 467.3±57.3cm3/s vs. 866.0±80.6cm3/s; p=0.004). 他の項目については変化がなく, また術前後のbody mass indexにも変化はみられなかった. 以上より, 鼻中隔矯正術と両側粘膜下下鼻甲介骨切除術は, 鼻閉を伴うOSAS患者の睡眠時呼吸動態を改善させることが示された. このような鼻内手術の効果はOSASの治療に積極的に応用されるべきであると考えられた.