3 0 0 0 OA 1. 血糖

著者
奥山 朋子 寺内 康夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.522-524, 2013 (Released:2013-09-07)
参考文献数
5
被引用文献数
2
著者
加門 淳司 山内 敏正 寺内 康夫 窪田 直人 門脇 孝
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.4, pp.294-300, 2003 (Released:2003-09-19)
参考文献数
19
被引用文献数
12 15

脂肪組織の増加によりおこる肥満は,2型糖尿病,高脂血症,高血圧など,動脈硬化の原因となる代謝異常症候群の原因となる.そこでまず脂肪細胞分化に重要な役割を果たすPPARγの2型糖尿病,インスリン感受性に対する作用について検討をおこなった.PPARγヘテロ欠損マウスと,PPARγアゴニストを投与した糖尿病モデルKKAyマウスにおいて,高脂肪食負荷による脂肪細胞の肥大化とインスリン抵抗性惹起が抑制された.詳細な検討の結果,PPARγの高度活性化および中等度活性低下により脂肪細胞のサイズが小型化すると,TNFα,レジスチン,脂肪酸といったインスリン抵抗性惹起分子の発現·分泌が低下し,アディポネクチン,レプチンといったインスリン感受性改善分子の発現·分泌が増加していた.これらの変動により,骨格筋,肝臓内の中性脂肪含量が低下し,良好なインスリン感受性を獲得したと考えられた.続いてインスリン感受性改善分子アディポネクチンの抗糖尿病作用について検討を加えた.脂肪萎縮性糖尿病マウスやKKAyマウスといったアディポネクチンが消失もしくは低下しているモデルへのアディポネクチンの投与により,インスリン抵抗性·高中性脂肪血症が改善された.さらに,レプチン欠損により肥満·糖尿病をきたすob/obマウスとアディポネクチントランスジェニックマウスを交配したアディポネクチントランスジェニックob/obマウスでは,体重には影響が認められなかったが,インスリン抵抗性,糖尿病が改善された.アディポネクチンは骨格筋において脂肪酸燃焼を促進するPPARα,および脂肪酸燃焼と糖取り込みを促進するAMPキナーゼを活性化し,中性脂肪含量低下,糖取り込み活性化により,骨格筋におけるインスリン抵抗性を改善させる.肝臓においてもPPARαおよびAMPキナーゼを活性化することで,中性脂肪含量を低下させるとともに,AMPキナーゼ活性化を通じて肝糖新生関連酵素PEPCKおよびG6Paseの発現を低下させて肝糖新生を抑制し,肝臓におけるインスリン感受性を改善する.以上より,(1)PPARγは脂肪細胞の肥大化とインスリン感受性の制御に中心的な役割を果たしていること,(2)アディポネクチン経路の増強がPPARγヘテロ欠損マウスにおける良好なインスリン感受性の一因であること,(3)アディポネクチン経路の増強は,2型糖尿病や代謝異常症候群といった肥満を原因とする疾患に対する新規治療法の確立に結びつくこと,が明らかとなった.
著者
蘇原 慧美 宇治原 誠 小松 裕美子 寺内 康夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.353-359, 2016-05-30 (Released:2016-06-01)
参考文献数
21

近年生活習慣の欧米化や,2010年の妊娠糖尿病(GDM)の診断基準の変更によりGDMが増加している.当院におけるGDM症例において,インスリン治療の要否に関する因子について検討した.GDM 68例を対象として,診断時年齢,妊娠週数,Body Mass Index(BMI),75 g Oral glucose tolerance test(OGTT),HbA1cに関してインスリン治療を要した群40例と,食事療法のみ行いインスリン治療を要さなかった群28例に分け比較検討した.BMI,HbA1c,75 gOGTTの60分値と120分値,GDM診断基準の診断項目該当数がインスリン治療群で有意に高かった.また診断項目該当数が空腹時血糖値の1点のみである症例では,BMIが高値である症例を除いて食事療法で管理できる可能性が高いと考えられた.
著者
寺内 康夫
出版者
横浜市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

グルコースシグナルやAMPKを介したインクレチン受容体の発現および膜移行制御機構を検討した。細胞外グルコース濃度上昇により単離膵島においてインクレチン受容体の発現が上昇した。また、グルコースシグナルを増強するGKAによっても膵島におけるインクレチン受容体の発現は上昇した。さらに、グルコース濃度上昇およびグルコキナーゼ活性化薬添加のどちらにおいてもAMPKが脱リン酸化されることも確認した。一方、単離膵島においてAMPK阻害薬により、インクレチン受容体の発現が上昇した。以上の成績より、グルコースシグナルによりAMPKの脱リン酸化を介して、インクレチン受容体の発現を上昇させることが想定された。