- 著者
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寺本 万里子
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2009
報告者は、内部磁気圏を飛行する二衛星(DE-1とAMPTE/CCE)が観測したPi2地磁気脈動の解析を行った。地上磁場データからウェーブレット解析を用いて選び出した849例のPi2地磁気脈動と衛星磁場3成分との比較を行ったところ、地上Pi2と類似の波動が圧縮波成分に多数観測された。これらの圧縮波成分の振幅、位相差の空間分布を調べたところ、衛星で観測されたPi2はPVR(Plasmaspheric virtual resonance mode)の波動の特徴を持つことが明らかになった。また極軌道衛星Cluster衛星とヨーロッパと南極に位置する低緯度から高緯度の地上観測点を用い、内部磁気圏高緯度と地上高緯度で観測されるPi2地磁気脈動を比較した。高緯度で観測されるPi2の周期は低緯度のPi2の周期よりも短く、偏波の方向が異なっていることが明らかになった。以上の結果は、Pi2は高緯度と低緯度で発生源が異なることを示している。以上の研究によって、サブストーム発生時に内部磁気圏で引き起こされる擾乱の空間特性をより詳細に明らかにした。また、アメリカ合衆国・ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所に10ヶ月間滞在し、今年度から新たに、THEMIS衛星を用いたGiant pulsationの解析にも取り組んだ。Giant pulsationは、太陽活動度が極小の時にサブオーロラ帯に引き起こされる周期40-150秒の非常に大きな振幅を持つ波動である。地上磁場データで引き起こされているGiant Pulsationと衛星の磁場データを比較したところ、Giant Pulsationは朝側の限られた領域にしかみられない現象である事を確かめた。