著者
寺澤 元一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.224, 2009

1.「日本海」は、国際的に確立した唯一の呼称であり、外務省が行った世界各国の古地図調査でも明らか。(1)日本海の呼称が初めて使われたのは、17世紀初めのイタリア人宣教師マテオ・リッチによって作成された「坤輿万国全図」であり、日本海の呼称は19世紀初頭までに欧米人によって確立されたと考えられている。(2)非常に信憑性が低い韓国側の古地図調査 (イ)日本の調査の方が韓国の調査より網羅的 (ロ)「東洋海」などの呼称を「東海」の呼称と同一視2.国連や米国を始めとする主要国政府も日本海呼称を正式に使用している。(1)国連は2004年3月、日本海が標準的な地名であることを認め、国連公式文書では標準的な地名として使用されなければならないとの方針を公式に確認。(2)米国や英国、フランス、ドイツ、中国等の各主要国政府も、日本海の呼称を使用。3.近年になって突然、日本海の単一呼称にごく一部の国から異議が唱えられ始めたが、この主張に根拠はなく、我が国は断固反論している。(1)韓国等が日本海の名称に異議を唱え始めたのは、1992年の第6回国連地名標準化会議が最初。それまでは、日本海の名称に異議が唱えられたことはなかったが、突然、韓国等は日本海の表記を「東海(East Sea)」との呼称に変更するか、あるいは日本海と「東海」を併記すべきと主張。(2)韓国の主張に対する反論 (イ)韓国側主張「日本海の名称は日本の拡張主義や植民地支配の結果広められてきた。」 →19世紀初頭、日本海の呼称が他を圧倒して使われるようになったこの時期の日本は、いまだ江戸時代で鎖国政策をとっており、日本が、日本海の名称確立に何らかの影響力を行使したということはない。(ロ)韓国側の主張「日本海と『東海』の併記を勧告する国連及びIHOの決議がある。」 →国連地名標準化会議決議_III_/20及びIHO技術決議A.4.2.6には、「日本海と『東海』との併記を勧告」との記載はいっさいなく、そもそも両決議は、湾や海峡など2つ以上の国の主権下にある地形を想定したものであり、日本海のような公海には適用はない。(3)韓国国内の名称にすぎない「東海」を国際的な標準名称にしようとする動きは、国際的な海上交通の安全面にも影響を及ぼしかねない混乱を生じさせるため、認めることはできない。また、日本海は国際的に確立した唯一の呼称であり、何ら争う余地はない。4.最近では、韓国政府も自らの主張の一部を撤回したと評価できる調査結果を発表。 韓国政府が少なくとも、日本海の名称が「日本の拡張主義や植民地政策」によるものとの主張が誤りであり、それ以前から広まっていたことを認めたものと評価。5.我が国政府は、日本海呼称をめぐる議論は、あくまでも実証主義に基づき、学術的かつ冷静に対応すべきである。