- 著者
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増田 佐和子
寺田 明彦
藤澤 隆夫
井口 光正
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.49, no.12, pp.1138-1145, 2000-12-30 (Released:2017-02-10)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
4
近年小児スギ花粉症の増加が報告されているが, 幼児における実態は未だ明らかではない.そこで, 5歳以下の幼児のスギ花粉の感作状況と発症例の臨床的特徴について検討した.気管支喘息・アトピー性皮膚炎などで国立療養所三重病院小児科アレルギー外来を受診した幼児76名(男児51名, 女児25名, 2カ月〜5歳)のスギCAP-RAST陽性率は27.6%で0歳の陽性例はなく, 最年少陽性例は1歳8カ月男児であった.ヤケヒョウヒダニ陽性率は61.8%で, ダニ陽性児ではスギ陽性率が有意に高値であった.1999年および2000年春に同耳鼻咽喉科でスギ花粉症と診断された幼児は27名(男児20名, 女児7名, 2〜5歳)で, 最年少は2歳5カ月男児であった.症状は鼻汁, 目の症状が多く, 咳, いびき, 鼻出血を訴えるものもあった.重複抗原として約60%がダニ陽性であったが40%はスギのみ, またはスギとヒノキのみ陽性を示した.以上よりスギ花粉による感作は2シーズンの暴露で成立し得ること, 2歳で発症し得ることが明らかとなり, スギ花粉は幼児においても重要な抗原であることが示された.