著者
伊東 裕子 熱田 純生 柴田 敬二 下田 満哉 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.435-441, 1983-08-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2 3

内部標準法によるコーヒー粉末のヘッドスペースガス分析法を用いて標準アロマグラムを作成するとともに,種々の包装形態における保存中の品質変化の違いを比較した。(1) 工場規準に基づいて焙煎(10回,生豆100kg/回)した同一種類の豆についてガスクロマトグラフ分析および官能検査を行い,標準アロマグラムを作成した。得られたアロマグラムは満足すべき再現性を示し,今後品質管理の基準として有用と考えられた。(2) 3種の包装形態においてコーヒー粉末を6ヵ月間貯蔵した。「劣化の有意差*」があらわれるのはピーク5対ピーク8比を基にしていずれも4ヵ月目と判定され,官能検査の結果もこれに一致した。包装形態間の優劣は官能検査では識別されたが,ガスクロマトグラフィーによってはできなかった。
著者
増田 佐和子 藤澤 隆夫 井口 光正 熱田 純 野間 雪子 長尾 みづほ 南部 光彦 末廣 豊 亀崎 佐織 寺田 明彦 水野 美穂子 清水 正己 東田 有智
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.1312-1320, 2006
被引用文献数
8

【背景】近年,小児スギ花粉症の増加が指摘されている.しかし幼小児でのスギへの感作と花粉症発症の状況はよく解っていない.そこで,乳児から思春期までの小児のスギ花粉感作状況の調査を行った.【方法】243名のアレルギー疾患をもつ小児(8カ月〜16歳,中央値5歳)と137名の同疾患をもたない児(1カ月〜15歳,中央値4歳)についてスギ花粉,ヤケヒョウヒダニ,カモガヤ花粉,卵白,牛乳の血清中特異IgE抗体をCAP-RAST法で測定し,保護者記載による問診票とともに検討した.【結果】スギCAP-RAST陽性率はアレルギー疾患群で47.1%,非アレルギー疾患群で19.9%であった.スギ陽性率はアレルギー疾患群では3歳から5歳で急激に高くなっており,非アレルギー疾患群では幼児期から思春期にかけて徐々に増加していた.最年少のスギ陽性者は1歳11カ月のアトピー性皮膚炎男児であった.スギ陽性群では陰性群に比べ1〜3月生まれが占める割合が有意に高く,吸入抗原(ダニ,カモガヤ)の重複感作率が高かった.【結語】小児のスギ感作は就学前に成立するものが多い.今後,感作を回避するために乳幼児期からいかなる対策を立てていけばよいのか検討が必要である.