著者
福井 豊 武藤 浩史 石川 尚人 寺脇 良悟 小野 斉 家倉 博
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.33-41, 1982-11-25

本研究は,黒毛和種未経産牛57頭について,A群26頭は24時間連続観察,B群の31頭は1日30分の2回観察を22日間行った。調査項目は,1日の発情頭数,22日間の全発情頭数,発情開始時刻,発情持続時間,乗駕および被乗駕回数,1日の発情頭数による発情行動の変化(Sexually-Active Group),牛群内の社会的順位,天候および気温と発情行動との関係についてである。A群において,26頭中23頭(88.5%),延25例,B群において31頭中23頭(74.2%),延26例の発情が確認された。B群の発情観察時間で,A群の発情発見結果を24時間連続観察と比べると,1例見逃したのみであった。発情開始時刻は乗駕および被乗駕行動とも夜(18:00〜06:00)に開始したものが半数以上であった(乗駕行動:56.5%,被乗駕行動:52.0%)。発情行動は全例において乗駕行動で始まり乗駕または被乗駕行動で終了した。その内,乗駕-被乗駕-乗駕の発情行動パターンが観察されたのは23例中17例(73.9%)であった。乗駕行動から被乗駕行動へ移行する時間差は6時間03分±5時間26分であった。発情持続時間は,被乗駕行動の継続時間では19時間13分±6時間37分であり,全発情行動の継続時間では27時間06分±9時間47分であった。単独で発情を示した牛の発情持続時間は,同時に2頭似上発情を示した牛と比べて短く,乗駕および被乗駕回数も少なかった。牛群内の社会的順位と発情行動および発情持続時間との間には有意差は認められなかった。また,天候や気温についても明らかな関係は見られなかった。本研究から,1日30分の2回観察(06.00と18.00)の発情観察により,ほとんど全頭の発情牛を確認できた。しかし,発情開始時刻,発情持続時間,乗駕および被乗駕回数は個体やSexually-Active Groupの構成により変化すると思われた。