著者
作本 悦子 渡邉 直行 小倉 敏裕
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-72, 2011-03

目的:The Lancetに掲載されたBerrington氏らによる論文をレビューし,CT検査の在り方について考察する.方法:Risk of Cancer from Diagnostic X-rays : estimates for the UK and 14 other countriesという論文をレビューし,CT検査の利益および不利益という見地から,CT検査の在り方について考察する.結果:本論文において,診断X線検査の放射線による発がんの寄与リスクは,他国に比べ日本が最も高く,日本で年間に発症するがんのうち,3.2%(年間7,587例の発がんに相当)が,診断に使われている放射線によるものであると推定された.結論:放射線を人体に照射する業務を行う我々は,患者に放射線による有害な影響の可能性を上回る利益を提供できるようにするべきであり,防護の最適化について,より工夫する必要がある.
著者
小倉 敏裕 佐藤 正規 柳井 和也 佐々木 勇 福田 和也 長島 宏幸 中村 保子 川島 康弘 高橋 稔 下村 洋之助
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立医療短期大学紀要 (ISSN:13403893)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.83-90, 2005-03
被引用文献数
3

目的 : 腹腔内脂肪の評価を行うために, 多列検出器型CT (MDCT) によって撮影されたCT横断画像データを用い腹部脂肪の可視化を行う. 方法 : 横断画像はスライス幅2.5mm, 再構成間隔1.25mmで撮影し, 脂肪データは-140HUから-40HUのCT値を有するボクセルとし, 腹部横断画像から抽出した. 連続面カッティングセミオート抽出法を用い皮下脂肪と腹腔内脂肪の分離を行い, 皮下脂肪と腹腔内脂肪の3D-CT画像の構築を行った. 結果 : 皮下脂肪や腹腔内脂肪の三次元構築画像が様々な方向から観察でき, 脂肪体積も容易に計測することができた. 結論 : 腹部脂肪の可視化により腹部の脂肪分布が視覚的に評価することが可能となった.
著者
小倉 敏裕
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.2052-2057, 1993-12-01
被引用文献数
4

1.解像特性は, 同一インチモードにおいてもアイリス径とピクセル値がそれぞれ大きくなると低下することがわかった.このことは, I.I.への入射線量の増減により解像特性が変化することを意味する.aアイリス径を一定に保ち, 入射線量を増すとピクセル値が上昇し解像特性が低下する.bピクセル値を一定に保つためにアイリス径を広くし, 入射線量を減ずると解像特性が低下する.すなわち, 高い解像特性の画像を得るためには, アイリス径を絞り, 低いピクセル値となるような線量で撮影する.逆にあまり高い解像特性を必要としない場合, アイリス径を広くすることによって被曝低減が可能である.2.低線量撮影により, ルーチンに小焦点(0.2mm)撮影が可能である.このため, 小焦点拡大撮影の技法が応用でき, S/Fに匹敵する解像特性の有する画像が得られる.3.ノイズに関して, 線量の低減によって量子モトルが増加し, ディジタルWSは上昇した.そして, 同時に低コントラスト被写体検出能の低下も顕著であった.また, ノイズ特性は, 解像特性と密接な関係があるため, アイリス径や, ピクセル値によっても異なる.このように, I.I./TV-DRの場合, 入射線量と解像特性とノイズ特性の間には, 複雑な関係があり, これらの特性を熟知したうえで撮影目的にあったDR装置のパラメータの設定, 線量, 撮影方法を決定する必要がある.