著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
小出 真理子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本稿では16世紀頃を中心に、風流踊装束の詳細を時系列にして変遷を追った。その際、近世初期風俗画における風流踊装束の詳細を考察した。天文年間を過ぎるころには、特に囃子方の装束に半臂が現れ始めるようになる。この装束については天文期以降の風流踊、囃子方特有のものと考えられた。その後、永禄初年頃には精細に装束表現がなされ、多彩な変化が見られた。囃子方と中踊の装束については、東博模本に現れた半臂などは本図でも見受けられた。また、笠などの頭頂についた飾り物がより明確に表現されていた。このころから、風流踊装束は、日常着の延長として着用されていたものから当該期特有の装束へと変化してきたといえる。その後、踊衆装束の様相は、より色彩も華やかに、意匠も精細に表現されるようになってきた。囃子方の装束では、やはり半臂を着用している様子が見られ、この様相から囃子方の装束の定型ではないかと思われる。半臂とは礼服の一種であるが、風流踊により近い芸能装束では舞楽の常装束で用いられる半臂を彷彿させ、文献においても、舞楽と風流とのとの関連についての記述が見られることから、本図は、舞楽と関連する風流が描かれていると指摘した。