著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
高桑 いづみ 勝木 言一郎 加藤 寛 樋口 昭 竹内 奈美子
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

三年間にわたって、地方の寺社や博物館が所蔵する雅楽・能楽の鼓胴を中心に調査をおこない、多くの収穫を得た。特筆すべきことは、雅楽から能楽へ至る過渡期の鼓胴を発見したことである。先回、科学研究費の交付を得て実施した「雅楽古楽器の総合的調査研究」でも石上神宮を神谷神社で発見したが、それとほぼ同形態のものを京都府日吉町、飛騨古川の荒城神社でも発見した。この四カ所の鼓胴は法相華文のかわりに黒漆を施し、雅楽鼓特有の鬘(乳袋上に突起した環)の代わりに線を彫り込んだ特異な形態で、線刻がなければ能の鼓胴、と言えるほど能の鼓胴に近い。荒城神社蔵の一筒を除くと規格もほぼ一定で、過渡期の段階である程度形態の規格化が進んでいたことがうかがえる。さらに福山市沼名前神社では、能への転用を意図してこの線刻の鼓胴に蒔絵を施したものを発見した。雅楽・中世芸能から能の囃子へ、鼓胴の流れを示す貴重な作例である。次に大きな発見は、平成10年に五島美術館で行われた「益田鈍翁展」に出品された「伎楽鼓胴」である。かつてない大きな法量の鼓胴で、「四ノ鼓」の遺品であろうと考えられる。今まで各称のみで実態が知られていなかっただけに、その発見意義は大きい。今回は能楽鼓胴、その他の雅楽鼓胴や鞨鼓、坐太鼓の調査も行ったが、新たな発見が多かった。