著者
宮澤 史穂 井出野 尚 小嶋 祥三
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.103, 2008 (Released:2008-11-10)

絶対音感とは外的な基準なしにその音の高さを同定することができる能力である。絶対音感保持者と非保持者の違いが見られる現象の1として、音高の記憶方略の違いが挙げられる。音高を記憶する際に、非保持者は物理的な音の高さで保持するのに対し、絶対音感保持者は音名で保持する傾向があるということが知られている(Zattore,2001)。行動的な研究以外にも、PETやfMRIを用いた研究では、絶対音感保持者は左半球に特有な脳活動が見られることが示唆されているが、その数は多くなく、統一された見解は得られていない。また、近赤外線分光法(NIRS)は、非侵襲的なニューロイメージングの手法であり、騒音もないことから、聴覚実験に適していると考えられる。そこで、本研究では課題の難易度(音高の保持を必要とするかどうか)を操作し、2種類の音の弁別課題を行った。また、課題遂行中の脳活動をNIRSによって計測し、絶対音感保持者と非保持者の違いを検討した
著者
山本 淳一 小嶋 祥三
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

次の6つのステップからなる療育プログラムを構成し,3歳から7歳の13名の重度自閉症幼児に適用した効果を詳細に分析した.(1)「基本的社会的相互作用」対人刺激の過敏性をとり、遊びを中心にした社会的相互作用を安定させることが、支援プログラムの初期段階においては最も重要であった。(2)「共同注意」応答型共同注意は、指さしから視線に手がかりを移行させることで、全ての子どもで成立した。始発型共同注意は,相手がその刺激を見ることができない場面設定をし、参加児の興味を引く刺激を用いることで促進された.(3)「模倣」以下の摸倣を系統的に評価し、運動、知覚、自己他者認知の障害のあり方を分析した。粗大・微細,動作・音声,対称・非対称,他者方向・自己方向。(4)「音声言語理解」聞き取り理解の学習と前頭葉の活動との相関関係が見られた。(5)「言語表出(哺語,単音,単語,文)」視覚的枠組み使って,文法にあった文を成立させていく指導ステップを構築した。(6)「機能的言語」叙述言語に関して、自分の経験した事象を報告する指導によって、獲得と般化がなされた。子どもの注意を十分引く必要があり試行回数が学習効果を決定する課題は「離散試行型指導法」を用い,社会的相互作用を目的とした課題と般化促進のために「ピボタル行動指導法」を用いた.基本的には週1回、大学での子どもへの指導,親面接,家庭でのかかわり方と指導のアドバイスを実施した.その結果、9名の自閉症児の社会言語領域、認知領域の発達年齢に大きな向上が見られた.また,適応行動尺度では,全員について向上が見られた.このような指導だけでは,音声言語の獲得と拡張、機能化がなされなかった4名の自閉症児については,絵カードの交換によるPECS(Picture Exchange Communication System)を導入し,3名について音声模倣の獲得がなされた.