著者
湯村 寧 菅野 ひとみ 小川 毅彦 斎藤 和男 佐藤 和彦 窪田 吉信 岩崎 晧 沢田 卓人
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.727-734, 2003-12
被引用文献数
1

症例1:42歳男.5年5ヵ月の不妊を主訴として受診し,無精子症を指摘された.全身所見で異常はなく,精液検査所見も無精子症であった.染色体検査では末梢リンパ球培養G band法で細胞20個において検査を行ったところ46,XXと女性の核型であった.また2番染色体短腕p11,長腕q13を切断点とする腕間逆位が認められた.以上の所見よりXX male症例と診断した.さらにPCR法によるsex-determining region Y(SRY)は陽性,deleted in azoospermia(DAZ)は陰性であった.患者は挙児は希望せず,現在も外来で経過観察中である.症例2:29歳男.1年3ヵ月の不妊を主訴として受診した.症例1と同様に無精子症を指摘され,全身所見で異常はなく,精液検査所見も無精子症であった.染色体検査でも症例1と同様に末梢リンパ球培養G band法で,細胞20個において検査を行ったところ46,XXと女性の核型であり,以上の所見より,XX male症例と診断した.また,PCR法による測定を行い,SRYは陽性,DAZは陰性であった.挙児を希望し,非配偶者間人工授精により正常男児がえられたWe report two cases of XX male with chief complaints of infertility. Physical examination of both patients aged 42 and 29 demonstrated normal male habitus except for small testes. Semen analyses demonstrated no spermatozoa. Endocrinological examinations showed hypergonadotrophic hypogonadism. Vesiculograms demonstrated normal seminal tracts. Histological examination of their testes did not reveal germ cells; one case lacked seminiferous tubules and there was hyalinization in the seminiferous tubule in another case. Chromosomal analyses of peripheral blood demonstrated 46,XX. The sex-determining region Y gene was positive and DAZ (deleted in azoospermia) gene was negative in both cases.
著者
船橋 亮 槙山 和秀 土屋 ふとし 杉浦 晋平 三好 康秀 岸田 健 小川 毅彦 上村 博司 矢尾 正祐 窪田 吉信
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.133-137, 2005-02

症例1(42歳男性).患者は他院で左精巣腫瘍(seminoma)の高位除精術を受け,その3年後にseminoma縦隔転移で化学療法を施行した.腫瘤は縮小したが,肝機能障害およびAFP高値(40ng/ml)遷延し,今回紹介入院となった.C型肝炎の活動性上昇からAFPのLCA分画測定を行い,化学療法による肝機能障害でC型肝炎の活動性が惹起されAFPが上昇したとの判断で経過観察とした.その結果,10ヵ月経過現在,AFPは13.4ng/mlまで下降した.症例2(30歳男性).患者は左精巣腫大で紹介入院となり,AFPは45ng/mlであった.左高位除精術を行なったところ,病理診断ではceminomaであった.化学療法後もAFPは29.1ng/mlで,LCA分画測定結果から更に化学療法を追加した結果,AFPに変化なかったものの,化学療法休薬中にもAFPは上昇せず経過観察となった.2年経過現在,AFPは20ng/ml台で推移しており,再発は認められていない