著者
小新井 涼
出版者
Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
International Journal of Contents Tourism
巻号頁・発行日
vol.4, pp.45-59, 2019-03-22

本研究では、コンテンツツーリズムの観点から、コスプレイベントにおけるコスプレ参加者の<リアルでフィクションを再現(re-enactment)する試み>について検討を行う。そのための具体的な研究対象として、北海道洞爺湖町で毎年開催されているTOYAKOマンガ・アニメフェスタを取り上げ、そこでのコスプレ参加者の実践を観察した。その結果、コスプレ参加者がアニメやゲームと結びつきのない洞爺湖町という現実世界(リアル)に、作品世界との形態的・意味的類縁性を見出し、フィクションとしての作品世界を再現している様子が見られた。こうしたコスプレ参加者の実践の分析を通して、コスプレイベントにおいて行われている、コスプレ参加者による<リアルでフィクションを再現するための見立て>が、コンテンツツーリズム実践として位置づけることが可能かについて論じる。