著者
緒方 一喜 渡辺 登志也 宮本 和代 川口 正将 豊田 耕治 小曽根 努 松岡 宏明 白石 啓吾 森岡 健志 吉岡 照太 鈴木 雅也 千保 聡 美馬 伸治 中村 友三 足立 雅也 芝生 圭吾 池田 文明 玉田 昭男 田中 生男 石原 雅典
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-58, 2012-11-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

ヒトスジシマカ成虫に対する殺虫剤による防除実地試験を東京の寺院の庭で2010年の夏に実施した.5%ペルメトリン,10%フェノトリン,7%エトフェンプロックス水性乳剤の50倍希釈液を背負式噴霧機によって50 ml/m2の量で草むら,植木,空地に噴霧した.スイーピング法,ドライアイストラップによる捕集密度の変化,配置した成虫の死亡率から効果を評価した.結果として,ペルメトリンでは約10日間,他の2剤では4~5日間は成虫飛来密度が0近くに減少した.その違いは,処理面積の違いに基づくものであろうと考えた.その後密度は緩やかな回復に向かったが,吸血シーズンの終了に伴い散布前のレベルにまで回復することはなかった.以上の結果から,処理面積を大きくすることで,感染症発生時の緊急的媒介蚊防圧にこの手法は充分に実用的効果があるだろうと結論した.
著者
小曽根 惠子 金山 彰宏 小曽根 努
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.32-36, 1995-10-31 (Released:2019-07-11)
参考文献数
6
被引用文献数
4

雑居ビル地階の食室内に生息するゴキブリを用いて放逐実験を行い,実地におけるチャバネゴキブリ成虫の移動範囲を調査した.横浜市内の和風食堂(9.7×7.0m2)において,生け捕り式トラップに捕獲されたチャバネゴキブリ成虫にマーキングをして放逐,再捕獲を行った.再捕獲には粘着式トラップを用いた.雄および未抱卵雌を採集地点と異なる食堂入口付近で放逐した場合,多くの個体が厨房付近で再捕獲された.この移動は,エサ・水を求めての移動と思われた.雄および未抱卵雌を厨房で放逐し,放逐翌日に殺虫剤処理を行い,ゴキブリの1日の移動範囲を調査したところ,マーク個体は放逐場所のごく周辺で再捕獲された.また抱卵雌を食堂の入口および厨房近くの倉庫で放逐したが,いずれも移動範囲は放逐場所のごく周辺に限られ放逐場所の違いによる行動の差は見られなかった.