著者
小机 信行 水野 進
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.231-235, 1989
被引用文献数
7

本研究は発芽バレイショの部位別のPGAの測定及びわが国の代表的調理用品種のバレイショ ('男爵'及び'メークイン') を1°C, 8°C及び20°C暗黒下に貯蔵し, 貯蔵に伴う発芽状況を調査するとともに皮層部及び髄質部のα-チャコニン及びα-ソラニンの消長を調査したものである.<br>1. 発芽バレイショ ('メークイン') を4部位に分けそれぞれの部位におけるPGA含量を測定したところ,最も多いのが発芽伸長部及び発芽周辺部の皮層部であることがわかった. なお, 髄質部についてはα-チャコニンが極く微量検出されたにすぎず, α-ソラニンについては痕跡程度であった.<br>2. '男爵'及び'メークイン'を1°C, 8°C及び20°C下に貯蔵し, 発芽の状況を調査したところ, 'メークイン'の方が'男爵'より少し休眠期間が短かった. なお,両品種とも20°C貯蔵では20日後に発芽伸長が認められた. 1°Cでは貯蔵120日後まで発芽伸長は抑制された.<br>3. 両種バレイショの貯蔵中のPGA含量の変化を調べたところ, '男爵'は'メークイン'と比較するとPGA含量は少ないが両品種とも発芽伸長とともに増加することがわかった. なお, 1°Cの低温下で発芽伸長の抑制された期間内でも皮層部組織でPGAの蓄積現象が認められた. 一方, 髄質部では両品種ともPGAは検出されなかった.