- 著者
-
小村 健人
向井 喜果
安藤 温子
井鷺 裕司
- 出版者
- 一般社団法人 日本生態学会
- 雑誌
- 日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.1, pp.91-102, 2020 (Released:2020-05-21)
- 参考文献数
- 37
動物食性動物の食性解析は、採餌行動の直接観察が困難な生物の基礎的な生態情報を探るための有効なツールとして、植物食性動物の場合と同様に脊椎動物を中心に近年研究が盛んである。植物食性動物を対象にした解析と大まかな解析手順は大きく異ならないが、植物食性動物の場合と比較して複数のマーカー領域を使用する場合が多く、さらに捕食者のDNA配列が被食者のものと似通っている場合がある。本来ターゲットではない捕食者のDNA領域が過剰に増幅することを防ぐためには、ブロッキングプライマーを使用することが有効である。本章ではミズナギドリ類とトキを対象にした研究を例に糞の採取、DNA抽出、ユニバーサルプライマーの選定、ブロッキングプライマーの設計、PCR、解読した塩基配列の分類群同定に関して解説した。