著者
小松崎 明 末高 武彦
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.834-841, 2001
参考文献数
19
被引用文献数
6

健常歯列者およびブリッジ装着前後の第一大臼歯1歯喪失患者を対象として,複数の咬合平衡に関する評価法について比較検討し,次の結果を得た。1.健常歯列者を対象とする評価から,透過レーザー法による歯冠相当部体積の重心偏値率の平均値が8.1%だったのに対し,感圧紙法のWタイプの咬合力重心価値率では20%を超えて有意(p<0.01)に大きく,咬合力の重心の価値量は大きく表示される。また,前・後基準点との距離関係から重心位置の比較を実施したところ,透過レーザー法は感圧紙法Wタイプに比較して重心-後基準点間距離が有意(p<0.01)に長く,重心がより前方に位置していることがわかった。2.ブリッジ装着患者を対象とする評価から,透過レーザー法によるブリッジ装着前の価値率の平均値は44.3%だったが,装着後には同8.1%と有意(p<0.01)に減少し,ブリッジ装着による咬合平衡状況の回復が観察できた。ブリッジ装着後の摂取障害食品の有無と,装着後の価値率の大小とを比較した結果,摂取障害食品の有無と,健常歯列群の偏値率を超える者,以下の者の割合について関連が認められた(p<0.05)。以上のようなことから,口腔の恒常性維持の観点から,透過レーザー法による歯冠相当部体積の重心を用いた咬合平衡状況から,咀嚼機能の適正な評価がなされる可能性が示唆された。
著者
小松崎 明 末高 武彦 山田 敏尚 干場 貫二
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.464-472, 1995-07-30
被引用文献数
8

著者は,効果的な学校歯科保健対策を検討する手始めとして,歯科健康診断と事後措置の状況について,全国の小中学校合計1,201校を対象として郵送法を用いて調査検討を行い, 398校から回答を得た。定期歯科健康診断はすべての小中学校で実施され,結果については90%以上の学校で養護教諭が学校歯科医から指示・指導を受けている。またほとんどの学校では結果を児童生徒・保護者に報告し,治療勧告を行っている。なお,市部と郡部では特徴ある大きな差が見られなかった。しかし,健康診断当日に欠席した者を放置している学校も多く特に中学校では50%あり,学校歯科医からの指示・指導を校長では50%近くが,学級担任では50%以上が把握しておらず,疫学的な分析が50%以上で行われていなく,集計結果も学校歯科医に30%以上の学校で報告されていないなど,問題点も多くの学校で認められる。この結果,歯科健康診断等はいまだ多くの学校で義務づけられた保健管理として行っていると見られ,この結果を学校保健が目指す保健教育へ活用し,歯科保健の特性を生かして保健教育と保健管理との調和した学校保健を進めている学校はわずかと考えられる。著者は,保健教育と保健管理とが調和した学校保健活動を求めて,この調査の結果を踏まえ学校内の体制について,また,学校歯科医活動のあり方について若干の方策を提案した。