著者
小林 創太 筒井 俊之 山本 健久 西口 明子
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1255-1258, 2007-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
11

我が国のヨーネ病摘発農場に対して全国的な疫学調査を実施し,感染農場の初摘発時におけるヨーネ病の農場内浸潤度を示唆する疫学的指標を検討した。本研究では初摘発から1年以内に感染牛が再摘発される農場では,その農場が初摘発される以前に農場内伝播が成立していると仮定し,各農場の監視期間中の追加摘発状況を観察したところ,新規に摘発された594農場のうち,158農場(27%)で再摘発が認められた.また,初摘発時の疫学情報をロジスティック回帰分析に供したところ,3つの疫学的な指標が再摘発と関連していた.すなわち,「初摘発時に発症牛がいる」,「初摘発時に複数頭摘発される」,および「牛舎形態がつなぎ飼いでない」農場は,「初摘発牛に発症牛がいない」,「初摘発頭数は1頭のみ」,および「つなぎ飼い」の農場に比べ,それぞれ3.8(95% confidence interval: 2.2,6.8),2.8(95% CI: 1.8,4.5),および2.0(95% CI: 1.1,3.6)倍再摘発されやすいことが示唆された.家畜衛生関係者にとってこれらの疫学的指標は,より集中的な防疫対策を実施するべきか否かをヨーネ病の初摘発時に判断する際の重要な指標になると思われた.