著者
国部 勇 野村 研一郎 野澤 はやぶさ 片田 彰博 今田 正信 小林 吉史 野中 聡 原渕 保明
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.1005-1009, 2002-10-01

著者最終原稿版44歳男.以前に長管骨だけでなく頭蓋骨にも病変が及ぶことを報告したが,対象は同一家系内に発症した難聴をはじめとする多発性脳神経麻痺を呈したEngelmann症であった.主訴は難聴で右耳は伝音難聴,左耳は感音難聴を示していた.右耳においては所見上外耳道狭窄や中耳滲出液は認められず,耳小骨病変が難聴の主な原因であると考えられた.左耳ではCT所見で内耳道の直径が約2.5mmと右耳の4mmと比較して著明に狭窄していた.本症例の左感音難聴は内耳道狭窄が主な原因と考えて矛盾ないと考えられたが,SISIテストではリクルートメント陽性を示しており,内耳病変も少なからず関与している可能性も示唆された