著者
野中 聡 国部 勇 浅野目 充 海野 徳二 石川 幸雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.150-154, 1995

喉頭ネブライザー療法におけるエアロゾル粒子の気道内への沈着様式についての解析はこれまであまりなされていない。本実験では経口RI吸入実験を行い, 喉頭超音波ネブライザー療法における気道, 消化管内へのエアロゾル沈着率を解析するとともに, 粒子に送気, 振動などを加え, これらの条件が沈着率にどのような影響を与えるか検討を加えた。超音波ネブライザー単独で吸入した場合, 咽喉頭部への沈着率は約4%と小さく, 大部分のエアロゾルは肺に沈着した。毎分3Lの送気付加トライアルでは咽喉頭部への沈着率はネブライザー単独とほぼ同じであった。振動付加トライアルのみ全ての被験者に共通して咽喉頭部への沈着率が増加した。RI標識製剤をテクネシウムHSAに代えた場合も, 咽喉頭部への沈着率は送気付加の場合と同様であった。
著者
国部 勇 野村 研一郎 野澤 はやぶさ 片田 彰博 今田 正信 小林 吉史 野中 聡 原渕 保明
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.1005-1009, 2002-10-01

著者最終原稿版44歳男.以前に長管骨だけでなく頭蓋骨にも病変が及ぶことを報告したが,対象は同一家系内に発症した難聴をはじめとする多発性脳神経麻痺を呈したEngelmann症であった.主訴は難聴で右耳は伝音難聴,左耳は感音難聴を示していた.右耳においては所見上外耳道狭窄や中耳滲出液は認められず,耳小骨病変が難聴の主な原因であると考えられた.左耳ではCT所見で内耳道の直径が約2.5mmと右耳の4mmと比較して著明に狭窄していた.本症例の左感音難聴は内耳道狭窄が主な原因と考えて矛盾ないと考えられたが,SISIテストではリクルートメント陽性を示しており,内耳病変も少なからず関与している可能性も示唆された