- 著者
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羽佐田 勝美
小林 慎太郎
丸井 淳一朗
- 出版者
- 日本国際地域開発学会
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.1, pp.65-74, 2019 (Released:2019-12-03)
本稿では,魚発酵食品パデークの需要が増加しているラオス国ビエンチャン特別市を対象に,パデークの流通の現状と課題を検討した。ビエンチャン特別市で最も多く販売されるパデークは伝統的パデークであった。パデークの流通においては,農家がパデークの原料採集,生産,発酵までを,仲買業者がパデークの集荷と出荷(流通)を,小売業者が最終的な調味(加工調製)と消費者への販売(小売)を主に行っていることがわかった。また,パデークの流通形態は仲買業者介在型,仲買業者不在型,農家直売型の3つに分類できることがわかった。各ステークホルダーの粗マージンについては,仲買業者と比べ,農家と小売業者がより高い粗マージンを得ていることが示唆された。さらに,パデーク経営において,農家はパデークの原料である魚の不足(資源の問題)が,仲買業者はパデークの不足(資源の問題),顧客が少ないことや同業者による競争(市場競争の問題)とパデーク仕入れ資金の不足(資金・経費の問題)が,小売業者は投資資金の不足や販売経費の負担が大きいこと(資金・経費の問題)と競争相手が多いこと(市場競争の問題)が,問題であることがわかった。