著者
丹治 肇 桐 博英 小林 慎太郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.5, 2009

エネルギー供給とスマートグリッド技術の進歩を前提に,21世紀の水田灌漑システムの再編の条件を検討した.今後,化石エネルギーから自然エネルギーへの転換が起こり,灌漑システムでもエネルギーの自立性が求められよう.スマートグリッドの通信制御技術を効率的に使うために,水田灌漑システムは流水システムから貯水システムへの転換が必要になり,耕作放棄地を活用したラグーン等の設置が求められる.スマートグリッド技術を活用し,水循環を制御すれば,水利用の自由度が上がるとともに,生態系,水質問題の解決が可能である.また,ラグーンを揚水発電と組み合わせることで,灌漑システムのバッテリー利用も有望である.これらの改変で,農地面積は減少するが,発電等の使用料が農家の収入になれば,全所得の向上が可能になろう.
著者
桐 博英 丹治 肇 中矢 哲郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.241-245, 2004
被引用文献数
1

地球温暖化に伴う沿岸域への影響には海面上昇が知られているが, 台風の規模も大きくなることがわかってきた. しかし, 台風規模の変化が高潮に伴う潮位偏差にどの程度影響を及ぼすのかは, 明らかになっていない. そこで, 台風が多く通過する有明海を対象に, 2つのモデル台風を作成し, 台風規模が15%大きくなった場合の潮位偏差の変化を数値解析により検証した. その結果, 有明海内部では, 20-55cmの潮位偏差の増大が予測され, 地球温暖化による沿岸域の保全対策には台風の規模の変化も考慮する必要があることを明らかにした. また, 有明海を北上する台風では, 台風接近時の潮位降下が台風通過時の潮位上昇を抑える効果があることを示した.