- 著者
-
小林 真二
- 出版者
- 北海道教育大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究では、亀井勝一郎が最も函館らしい作家として名を挙げた3名の作家、長谷川海太郎(筆名・牧逸馬、谷譲次、林不忘)、久生十蘭、水谷準の文学の背景をなす大正期函館モダニズム文化について調査・研究を行い、長谷川海太郎が函館中学校時代の先輩グループ、宣教師、家庭教師などとの文化的ネットワークの中で文学・思想・渡米意志などを育んだことや、阿部回漕店に生まれた久生十蘭が海運都市・函館を背景に「船」「ロシア」「海難」などのモチーフを文学に活かしたこと、そうした二人の先輩に導かれて水谷準が文学者として成熟していったことなどを明らかにすると共に、従来埋もれてきた彼等の新資料を多数発見することができた。